あたしは受け取ったお金を握りしめ、カフェのレジに向かった。看板には【GOD BRESS COFFEE】と描かれている。
エスプレッソ、ラテ、カプチーノ。
カタカナばっかりで、よくわからない。
看板の下にかけられたメニュー表を見上げた。
ふとレジにいるスタッフに視線を落とせば、椅子に腰かけコクリコクリと居眠りをしていた。持ったままのスマホが危なっかしく、揺れていた。
仕事しろ。
黒いワイシャツとパンツ。そして、コーヒー色のエプロンには、金色の刺繍で【GOD BRESS COFFEE】と記してある。そして、コーヒー色のキャップにも金色の刺繍があった。ガタン、スマホがレジ机に落ちた。
「……ふわあああああ」
店員が伸びをして、あたしに目を向けた。ホワイトベリー色の髪が、ふわりと揺れた。大きな瞳が涙に揺れる。
「白髪」
「白髪びゃなひから」
欠伸を噛み殺すのに失敗して、店員は言った。見た目は同い年くらいか、少し年上か。それなのに、こんなに頭が真っ白だなんて、おじいちゃんだ。
「染めてるの。ご注文は?」
「プレミアムカフェモ……っ」
「あーーーーーーー!!」
あと、一文字だったのに。
店員が大声を出して、あたしを見つめた。
「AIKUでしょ?」
なんで人の名前、知ってんのよ。
あんた、だれ。
