「だったら、斗愛くんと優空はHEAVEN抜ければいいんじゃない?その変わり、ボクと由依が入るの!そしたら、メンバーは里央くんとボクと由依!仲良し3人組!新生HEAVENの誕生で、ファンも大喜びーーーー!!!」
「オレは絶対やだ」
由依が即答し、猫が発狂した。
斗愛は樹理を視界にさえ入れず、優空を見据えた。
「人にとやかく言う前に、お前は女癖を直せよ?王子様は、紳士ぶって近づいて、色んな女に手ぇ出すのがお得意だからな?」
「なんだよ、……それ」
「次の女は、コイツか?」
呑気に喧嘩を観戦していたあたしは突然火の粉が降りかかり、体を強張らせた。あたしがいることに、いつから気づいていたのだろう。
「よくこんなヤツ、連れて来れたな?お前のセンスを疑うよ」
「斗愛くんに、同かーん!」
樹理がぴょんぴょん飛び跳ねながら、手を上げた。ココアブラウンの瞳が、滑るように向けられた。
「顔も悪い、性格も悪い、頭も悪い」
「何が悪い三拍子ですって?」
「あとあとぉ~、盗人だしね~!人のモノにすぐ手つけちゃうんだよぉ。手癖が悪いのかな??見るからに、貧乏育ちって感じぃ?」
樹理が品定めするようにあたしの周りを回りながら、ニヤニヤ顔でそう言った。
「何を盗んだって言うのよ!あんたのモノなんか全然ほしくない!」
「へ~え?青木盗んどいて、そんなこと言うんだぁ?もともと、青木はボクたちのマネージャーなんだけどぉ?」
「……あんなポンコツで良ければ、……すぐにだってお返ししてやるわよ!」
「おこがましいんだよねぇ、おまえ。里央くんにまで手を出そうとしたり、由依と隣の席になったりさぁ?優空とどうなろうが、ボクは知ったこっちゃないけどぉ~」
子どもじみた口調なのに、温かみもなにも感じられない声色。
樹理のマシュマロブラウンの瞳は、嫌悪の色が渦巻く。
くるくると人差し指を回して、唇に持っていく。あざとい表情でかわいこぶりながら、樹理の瞳は挑発的に光った。樹理とあたしの様子を見下ろしながら、斗愛が蔑むように鼻で笑った。
「こんな女が天使系アイドルなんて、この事務所潰れるんじゃねえの」
