小悪魔DOLL【Ⅰ】



「斗愛くんはいつもそうだ。今回のステージだって、口先ばっかで何も練習してなかった」

「だから、俺の邪魔すんなって?いつもニコニコ王子が、今日は強気だな」

「そういうことを言ってるんじゃない。ただ、今回は里央くんがセンターのステージだった。勝手なことしないでほしい」

「勝手なこと言ってんのは、てめえだろ」

ココアブラウンの瞳がギラリと光った。

冷たい瞳に、相反する口角の上がり方。

その表情に、背筋がぞっと寒くなった。悪魔のような表情に、ただ黙って見上げることしか出来なかった。


「お前、青林にHEAVEN復活させろって頼んだらしいな?何がHEAVENだよ。俺はお前らとデビューする気なんてさらさらない。てめえの考えを、俺に押し付けんな」

「……だっせー」

その言葉に反撃したのは、由依だった。先程までヘラヘラとしていたくせに、ムッとした表情で斗愛を見上げている。

「誰に言ってんだよ」

「斗愛くんしか、……いないでしょ」

カフェオレブラウンの瞳が挑発的に光り、由依が立ち上がった。


やれやれー、もっとやれー。

あたしは観客気分で3人の言い争いを見つめていた。


「斗愛くんは、ただ逃げてるだけだ。それなのに、優空のこと責める資格あるんすか?」

「は?俺が何に逃げてんの?」

「怖いんだ。全力で練習して、オレたちに抜かされんのが。だから、本気出さないんだよ」

「あぁ、そうだな。的外れを自信満々に述べる頭の悪さは、お前に敵わねえよ」

「ボク、いいこと思い付いたぁー!!!」

樹理が、斗愛由依の間に入って、声を張り上げた。樹理がニッコリ笑って、マシュマロ色の髪をふわりふわりと揺らした。

全く良いことではないだろうと、あたしを含む全員が思っていたに違いない。