「斗愛くんはいつもそうだ。今回のステージだって、口先ばっかで何も練習してなかった」
「だから、俺の邪魔すんなって?いつもニコニコ王子が、今日は強気だな」
「そういうことを言ってるんじゃない。ただ、今回は里央くんがセンターのステージだった。勝手なことしないでほしい」
「勝手なこと言ってんのは、てめえだろ」
ココアブラウンの瞳がギラリと光った。
冷たい瞳に、相反する口角の上がり方。
その表情に、背筋がぞっと寒くなった。悪魔のような表情に、ただ黙って見上げることしか出来なかった。
「お前、青林にHEAVEN復活させろって頼んだらしいな?何がHEAVENだよ。俺はお前らとデビューする気なんてさらさらない。てめえの考えを、俺に押し付けんな」
「……だっせー」
その言葉に反撃したのは、由依だった。先程までヘラヘラとしていたくせに、ムッとした表情で斗愛を見上げている。
「誰に言ってんだよ」
「斗愛くんしか、……いないでしょ」
カフェオレブラウンの瞳が挑発的に光り、由依が立ち上がった。
やれやれー、もっとやれー。
あたしは観客気分で3人の言い争いを見つめていた。
「斗愛くんは、ただ逃げてるだけだ。それなのに、優空のこと責める資格あるんすか?」
「は?俺が何に逃げてんの?」
「怖いんだ。全力で練習して、オレたちに抜かされんのが。だから、本気出さないんだよ」
「あぁ、そうだな。的外れを自信満々に述べる頭の悪さは、お前に敵わねえよ」
「ボク、いいこと思い付いたぁー!!!」
樹理が、斗愛由依の間に入って、声を張り上げた。樹理がニッコリ笑って、マシュマロ色の髪をふわりふわりと揺らした。
全く良いことではないだろうと、あたしを含む全員が思っていたに違いない。
