小悪魔DOLL【Ⅰ】



青木が開いた扉からヒョッコリ顔を覗かせれば、斗愛が優空の胸ぐらを掴みあげていた。衣装が乱れ、至近距離で鋭く睨みあっている。

あら、修羅場。


「斗愛くん!優空くん!何があったんすか!早く離れて!!」

青木がウエストウッドのマネージャーらしく斗愛と優空の間に入り、吹き飛ばされていた。

ポンコツ、どんまい。


「文句あんのか、王子さまぁ?」

「文句じゃない。これは俺の意見だから」

優空がハッキリとそう言って、斗愛を見据えた。

「あー、青木ー!」

「やっぱ、右足臭くなってる!」

テレビ画面を見ていた樹理が振り返り、床にへばりついたポンコツを見つけて声を上げた。その隣で由依が足の匂いをかいで、悶絶している。

「いてててて。……まったく!」

起き上がった青木が斗愛と優空を見上げた。

そして、くるりと振り返る。


「青林さん連れてくるので、あいくはここで待っててください!!」

「えー、カフェモカはー?」

「そんな状況じゃないでしょ!!!」

「なんであたしが怒られなきゃなんないのよっ」

「いいですか?絶対中には入らず、外で待っててくださいね!絶対ですよ!!!」

無視するあたしを気にもとめずに、青木は大急ぎでドリームのマネージャーである青林を探しに行った。


なによ、偉そうに。

あたしがポンコツの言い付けを守ると思ってるの?

全く、バカなんだから。

やれやれ。

あたしはすぐさま、ドリームの楽屋に侵入した。


中央で掴みあいの喧嘩をする、斗愛と優空。
テレビの前でじゃれあう、由依樹理。
そして、壁に寄りかかり読書する里央。

静かに斗愛と優空の横を通りすぎ、里央の横に腰かけるとあたしの存在に気づいて里央が耳からイヤホンを外した。

「あいく、どうしたの?」

どうしたの?って……。

メンバーが目の前で怒鳴りあいしているのに、よく呑気に音楽聞いて雑誌読んでられるわね。

「ウエストウッドドリームの先輩方に、挨拶しに来たの。それより、なんでコイツら喧嘩してんの?」

大騒ぎしちゃって、バカみたい。