小悪魔DOLL【Ⅰ】



ポンコツ情報によると、出演者専用のカフェが用意されているらしい。

「カフェモカ~カフェモカ~」

スキップ交じりに、ドリームの楽屋に向かう。

さっさとアイツらに挨拶を済ませ、カフェモカを飲むんだ。後ろでため息を吐き出す青木なんて、見てもいなかった。あの5人のことは、好きになれないし、挨拶なんて面倒くさい。


だけど。

歌を歌うことも、ダンスを披露することも、ファンを虜にさせることも、生半可な気持ちじゃ出来ない。たくさん練習をして、初めてステージに立って、あたしはそれを実感したから、少しは見直してあげたの。

そんなことを考えていれば、どこからともなく怒声が響き渡った。


通路をキョロキョロと見渡してみても、その怒声を発する犯人は見つけられない。どこかのバカたちが喧嘩をする声が、通路全体に響き渡っていた。まぁ、あたしには関係ない。さっさと挨拶をして、カフェモカ飲もーっと。

ウエストウッドドリームの楽屋の前に立てば、部屋の中から大きな怒声とわめき声が響き渡る。


「……げっ」

あたしは顔を歪め、振り返って青木を見た。

騒ぎの根源はここだ。

扉を挟んで大声が響き渡っている。

目を大きく見開いた青木が、あたしの前に躍り出て、素早く扉を開けた。

「何してるんすか!!」

ポンコツが第一声を上げた。