小悪魔DOLL【Ⅰ】



《 ♪ ねぇ、 本当はキモチ 気づいてる?》

《想いはぐらかして からめた指先》

《鼻先合わせて 見つめあったら》

《本当のキモチの さぐりあい 》


観客席が波打った。

あたしの歌声が響き渡った。

全てがキラキラ見える。

胸の奥が熱くなった。もっともっと、歌声を響かせたい。この会場にいる全ての人へ、あたしの気持ちを届けたい。


歌う前には感じなかった感情が、溢れ出す。

認めさせてやる、見返してやる。

そう強く思っていたのに。今ではそんなこと、少しも思っていなかった。このステージで、歌っていたい。いつまでも、ここにいたい。


《 ♪ あなたの心は どこ探しても》

《見つからないよ》

《どのコが 奪ってしまったの? 》


会場に伸ばした手を胸元へ戻して、前屈みになって精一杯声を出す。

ここにいる全ての人が、好きな人を想っていた。ここにいる全ての人が伝えたい想いを、あたしは歌詞にのせて届けるんだ。それが、あたしの魔法なの。


これ以上、高い声なんて出ない。

それでも、あたしは手で音程をとりながら、体をくの字に曲げて、お腹の底から声を出した。


《 ♪ love you…love you…love you…》

《あなたへのキモチ 言葉にしたいよ》


響き渡る歌声に、メロディが重なる。