《 ♪ ねぇ、 本当はキモチ 気づいてる?》
《想いはぐらかして からめた指先》
《鼻先合わせて 見つめあったら》
《本当のキモチの さぐりあい 》
観客席が波打った。
あたしの歌声が響き渡った。
全てがキラキラ見える。
胸の奥が熱くなった。もっともっと、歌声を響かせたい。この会場にいる全ての人へ、あたしの気持ちを届けたい。
歌う前には感じなかった感情が、溢れ出す。
認めさせてやる、見返してやる。
そう強く思っていたのに。今ではそんなこと、少しも思っていなかった。このステージで、歌っていたい。いつまでも、ここにいたい。
《 ♪ あなたの心は どこ探しても》
《見つからないよ》
《どのコが 奪ってしまったの? 》
会場に伸ばした手を胸元へ戻して、前屈みになって精一杯声を出す。
ここにいる全ての人が、好きな人を想っていた。ここにいる全ての人が伝えたい想いを、あたしは歌詞にのせて届けるんだ。それが、あたしの魔法なの。
これ以上、高い声なんて出ない。
それでも、あたしは手で音程をとりながら、体をくの字に曲げて、お腹の底から声を出した。
《 ♪ love you…love you…love you…》
《あなたへのキモチ 言葉にしたいよ》
響き渡る歌声に、メロディが重なる。
