小悪魔DOLL【Ⅰ】



《 ♪ ミラーに唱える ひみつのおまじない》


あたしは人差し指を口元に持っていく。



《 ♪ はやりのメイク 少し背伸びしちゃって》

《はやく あなたに 届けたい!》


跳ねるように歌えば、観客席が沸き立った。


《 ♪ ぷくぷく チェリーグロス 桃色 チーク》

《いちごのパフューム ふりまいて》


人差し指で唇を撫で、チークをほどこす仕草を真似る。

ミルクティ色の毛先を人差し指にからめて、あたしはカメラを見つめた。


《♪ あなたは もう わたしに夢中?》


首を傾げるおまけをつけて。

観客たちはメロディーに合わせて、体を動かす。


会場全体が、あたしの世界に染まっていく。

先程まで興味すら抱かなかった観客たちが、あたしに向かってカンペを振り回し、黄色い声をあげた。これはあたしが作り出した魔法。あたしは魔法の世界に飛び込んで、天使の魔法を降りかけるんだ。


甘くて、幸せで、ちょっぴり胸を締め付ける魔法を。