小悪魔DOLL【Ⅰ】



初めてKANATAに出会えたのは、レコーディングスタジオだった。あの時は何て話せばいいかわからなかった。伝えたいことはたくさんあっても、どう伝えればいいのかわからなかったんだ。


『好きです』

真っ直ぐとした言葉しか、思い付かなかった。


『結婚してくださいっ!』

突然のプロポーズにKANATAは驚いた表情で、あたしを見下ろした。そして、嬉しそうに微笑んだ。


《 ♪ ねぇ、一目ボレって 信じてる?》

《答えはぐらかして くすくす笑うの》

《出逢ったばっかで おかしいねって。》


ミエルグレージュの瞳にあたしが映っていたこと。

今でも鮮明に、覚えてる。


《♪ なびいた髪も ゆれる睫毛も あなたの香りも》

《こどうを おかしくさせるのに。》

《わたしは あなたに 恋してる。》


この気持ちを、抑えておくことなんて出来なかった。

ずっとずっと会いたかった人。

ずっとずっと大好きだった人。

彼に伝えたい言葉は、一言じゃ足りないよ。おでこに添えられた手のひらも、心配そうに覗き混む表情も、あたしは全部大好きなの。KANATAの前だと何も出来なくて、もどかしい気持ちになるよ。

彼のことを考えると、ドキドキして幸せで、でもちょっぴり切ない。


交わることのない感情が、あたしの胸をいっぱいにさせる。それが、恋する乙女の気持ちなんだ。

この気持ちを、皆に伝えたい。