そして、最後の歌詞。
ウエストウッドドリームの歌声が重なり、響き渡る。
《 ♪ AIKU、僕を選んでよ 》
あたしは目を見開いた。
0時の鐘が鳴り響く。
とけるはずの魔法が、あたしの体を包み込む。
あたしは夢の世界に引きずりこまれ、真っ直ぐと向けられた瞳に抗うことが出来ない。ウエストウッドドリーム1人1人の瞳が、懇願するように真っ直ぐとあたしに向けられていたんだ。歓声が響き渡り、観客席が波打った。
それでも、あたしはウエストウッドドリームに語りかけられた言葉に、目を見開いたまま。彼らの余韻に浸る時間なんて、あたしには残っていないのに。
メインステージのライトが消えた。ウエストウッドドリームたちの姿が闇に消えた。
もうすぐ、あたしのステージが始まる。
ステージが割れるほどの歓声が響き渡った。
でも、この歓声は、あたしに向けられたものじゃない。
観客たちは消えていったドリームに感情をぶつけるように、歓声をあげたんだ。体をセンターステージに向けたまま、メインステージに向ける素振りも見せない。ウエストウッドドリームとの温度差に、先程の余韻を振り払う。誰もあたしの歌声を待ち望んではいなかった。
……わかってる。
だから、だからこそ。
あたしは、AIKUを魅せるんだ。
『天使のご加護がありますように』
頭に響く天使の声とともに、左の薬指に光るジュエリーに息を吹きかける。天使の息吹を感じたジュエリーが、命を宿すようにきらめいた。
