小悪魔DOLL【Ⅰ】



ダンスをしていたYUIJURIがステージの両端に移動した。端と端で向かいあった2人が、お互い目掛けて走る。そして、勢いよくステージの床を蹴った。

YUIJURIのバク宙が決まった。

YUIは犬のように軽やかに、JURIは猫のようにしなやかに着地して、カメラに向かって駆け寄った。スクリーンに大きく映し出されたYUIJURIが、二人揃って薬指と中指を折ったハンドサインをファンに向ける。

「LOVE U~!!!」

まるでYUIJURIのお決まりポーズのように、ファンが彼らの真似をしてかけ声を響かせた。


【エアハグして!!】

【遠吠えちょうだい】

【バキューンして★】

【LOVE Uちょうだい♡】


モニターにもファンが映った。

担当の団扇を持って、その横にカンペを出している。アイドルを指名して、行動を指示してる。一部の観客がワァッと沸いた先に目を向けると、ファンに向かって手を振るSORAと、手で作ったエア銃を放つRIOが居た。

そして、あたしはとんでもないカンペを見つけた。


【家畜にしてください!】


やばいヤツいる!!!

カンペの隣に掲げられた団扇は、TOAだった。

カンペと担当団扇を振り回すファンの顔が見え、あたしは目を見開いた。


「……げっ」

シオンがいたんだ。

シオンが団扇を振り回して、何か叫んでいる。

他のファンの声にかきけされて、何を叫んでいるのかは聞こえなかった。