小悪魔DOLL【Ⅰ】



曲調が変わった。

パーンと破裂音とともに、キラキラ輝く金テープと銀テープが会場に放たれた。いくつもの明るいライトがステージに浴びせられ、メンバー全員が激しく動く。センターにいた3人がターンをして、余韻を残して後ろに下がる。


YUIとJURIが、立ち代わるように前に出た。

金テープ発砲が合図のように、何人ものドリームたちがステージに流れ込んだ。完璧に揃ったダンスに、瞬きも忘れていた。

まるで別人みたいだ。

手足をしなかやかに動かして、会場に笑顔を向ける。後ろに遣えるドリームがYUIJURIに合わせて、ターンを決めた。

二人を見つめて、思い出していた。


『……最悪』

あたしを見るなり、樹理は毒づいた。

『おとり作戦だよぉ!!』

『さぁさぁ、ブスさん、お団子どうぞ。』

わがままで、自由奔放で、コロコロ表情を変える樹理。


『お前が後から来たんだから、オレのほうが先輩だ』

あたしの隣の席に腰かけて、由依が言った。

『カァァァァーーー!染みる~~~~、だろ?』

『そんなことしたら、もろバレじゃねえか!!』

いつも偉そうなくせに、時折見せるいたずらっ子のような由依。


あれは、あたしのクラスメート。

ステージの上で堂々とダンスする二人。観客席を挟んで反対のステージでスタンバイするあたしは、無意識にマイクを強く握っていた。

YUIJURIを筆頭にダンスを揃えるドリーム。

あそこまで完璧に揃えて、あんなにもファンの瞳を虜にしているのに、アイツらは歌を歌うことも許されない。