君は雨上がりの虹のように

憂鬱な気分になりながら今日も授業を受ける。
毎日起きて学校に行って帰って寝るだけのルーティーン。
これを何回繰り返せば僕は自由になれるのだろうか。
友達がいないわけではない。
彼女というものはいないし、恋をしているわけでもないけど、側から見た俺は多分、"充実した高校生" だ。
でも、そうじゃない。
俺はみんなと違う。
みんな気づいてないだけで、俺は普通ではない。
考え事をしていると授業はあっという間に終わって昼休憩。
どこに行くわけでもなく何となく教室を出て廊下を歩く。
一緒にご飯食べよーとか、緊張した様子で男子を呼び出す女子、何だかそわそわしている男子。
あぁ、そういや今日はバレンタインだったっけ。
いつも以上に騒がしい廊下を一人で歩いていると俺だけ取り残されたような孤独に襲われる。
どこでご飯食べよう、と呑気に考えていると肩をとんとんと叩かれる。
肩がビクッと跳ねる。
「そうだった、ごめんね」
なにが?ていうか誰?
僕が疑問に思っているのが顔に出ていたのだろう。
「知ってるよ、君の秘密」
この人が知っているわけがない。
そう思っているのに頭の奥の奥、自分でも触れられない"何か"は思っている。
あぁ、この人は俺の秘密を知っていて当然だ、なんて、話したこともない君に。
「何をですか?」
話しかけてきた人のことは知らなかった。
鎖骨ぐらいまで伸びた髪はくるんと内側に巻かれていて、透き通った目は茶色だ。
真っ白の肌に赤い唇がよく映えている。
うさぎみたいな子だった。
「こんなみんなが聞こえるようなところで話すほど性格悪くないよ、場所変えよ」
うさぎについていくと屋上にたどり着いた。
「単刀直入に言うね?
君、自分の名前が聞こえないんでしょ」
なんで知っているのか、分からなかった。
「そんな訳、ないでしょ?」
声が震える。
きっと俺の顔は今強張っているだろう。
「そんな嘘つかないで、私だけには嘘をつかないって約束だよ」
「約束?」
頭の奥の奥が痛む。
また変なことを思っている。
この子とそんな約束をしたな、と。
「うん、君は覚えてないだろうけどね」
これが、君との出会いだった。