間近で風を切る拳の音に、思わず頭を伏せれば、「やっぱこっちからだろ!」と、こちら目がけて突進する男の姿に固く目を閉じた。
「――ぉラァ……!!」
野間はすぐさま私の傍に戻り、男を容赦なく蹴り飛ばすと、その場にしゃがみ込む私を脇から抱えて無理やり立ち上がらせた。
「すまっせん……!」
一言謝り、私の肩を引っ掴むと、自らの背中に投げるように回して庇う。
「ッグ…ハ……!」
傍に詰め寄ってきた男に膝蹴りと、重い右ストレートを叩き込む。
「後からセクハラとか絶対言わないでくださいね!」
そう言って、すぐにまた私を抱え直し、襲い掛かってくる別の男を撃退していく。
ふう、ふう、と肩で息をしながら、尚も詰め寄ってくる男たちと見合う時間、わずかな膠着状態。
「やっべ……どうしよっかな」
「野間くん、いいよもう」
「いえ、絶対に護りますんで」
「そんなこと言っても、こんなのどうにも……」
「じゃなきゃ紫藤さんにこの100億倍ボコられるっす」
「……なるほど」
私を護るというか、私を護ることで自分を守っていたのか。
そうやって束の間の膠着状態が終わり、再び男たちが一斉に動き出す。
野間だって私を抱えたまま、臨戦態勢を取った。
その時、一番隅にいた男の一人が、ドサリ、と不自然に倒れた。
思わず目をやれば、そこにはポケットに手を突っ込んだまま立つ、
――多夜の姿があった。
「何をしている」

