余所者-よそもの-【 2 】



間近で風を切る拳の音に、思わず頭を伏せれば、「やっぱこっちからだろ!」と、こちら目がけて突進する男の姿に固く目を閉じた。


「――ぉラァ……!!」

野間はすぐさま私の傍に戻り、男を容赦なく蹴り飛ばすと、その場にしゃがみ込む私を脇から抱えて無理やり立ち上がらせた。


「すまっせん……!」

一言謝り、私の肩を引っ掴むと、自らの背中に投げるように回して庇う。


「ッグ…ハ……!」

傍に詰め寄ってきた男に膝蹴りと、重い右ストレートを叩き込む。


「後からセクハラとか絶対言わないでくださいね!」

そう言って、すぐにまた私を抱え直し、襲い掛かってくる別の男を撃退していく。


ふう、ふう、と肩で息をしながら、尚も詰め寄ってくる男たちと見合う時間、わずかな膠着状態。


「やっべ……どうしよっかな」

「野間くん、いいよもう」

「いえ、絶対に護りますんで」

「そんなこと言っても、こんなのどうにも……」

「じゃなきゃ紫藤さんにこの100億倍ボコられるっす」

「……なるほど」

私を護るというか、私を護ることで自分を守っていたのか。


そうやって束の間の膠着状態が終わり、再び男たちが一斉に動き出す。

野間だって私を抱えたまま、臨戦態勢を取った。


その時、一番隅にいた男の一人が、ドサリ、と不自然に倒れた。


思わず目をやれば、そこにはポケットに手を突っ込んだまま立つ、
――多夜の姿があった。


「何をしている」