余所者-よそもの-【 2 】



「僕はシトウの眼だ。カナコさんのことだって、この眼でずっと視てきました」

それはまるで、私を監視していたかのような口ぶり。


「今の居場所……AnBarっていうんでしたっけ。カナコさんにとって、とても大切なんじゃないですか?」

……この人は私のどこまでを、知っているの。


「紫藤さんが指示を出すよりも早く。……それか、多夜さんが痺れを切らせるよりも早く」

「………」

「この二人の先回りをして動くのは、そう簡単なことじゃないんですよ」


私の臆病な目と。

腹の内を見せない、野間の強い目がぶつかった。


「今日、僕がカナコさんを迎えに来たのは、僕の意志」

「………」


「この意味、わかります?」

「私のためだって言いたいの?」


「じゃあ例えば、多夜さんが動いたとしたら。送迎という点においては、営業中であろうがなんだろうが、お構いなしでしょう」

「………」


「紫藤さんとの関係を、身内に隠しておきたいカナコさんにとっては、最悪な送迎になる」

思わず、目を見開いた。


「紫藤さんが動いたとしたら……まぁ、いきなり店を潰しはしないでしょうが。露天街からの見え方は、あまりよくないかもしれませんね」


『シトウの中でカナコさんの感覚に一番近い』

野間は、私が失くしたくないものを……知ってる。


「初めに言った通りです。『僕が全力でサポートします』」

「………」


「どうします?僕についてきますか?」


やっぱり、野間だってシトウの人間だ。

私がどう答えるかなんて、きっとわかってる。


だって。
悔しいくらい、野間の言う通り。

私の事情に、AnBarのみんなを巻き込みたくない。



それに。
私、シドに会いたくないわけじゃ……ない。


「………」