「……まぁ、こういうのは自分で気づくのが一番ですからね」
「野間くん」
「はい」
「私、行かなきゃいけない?」
「いいえ?」
「……いいの?」
「カナコさんが嫌だと言うのなら、僕だって考えます」
野間はシトウの人間。
きっと私に拒否権なんてない。
そう思っていたものだから、野間のその解答はとても意外だった。
「僕のこと、疑ってます?」
「だって……断っちゃいけないものだと思って」
「多分なんですけど、シトウの中でカナコさんの感覚に一番近いのは、僕だと思うんですよね」
「………」
「紫藤さんほど神かかってなければ、多夜さんほど人に無関心でもありませんから、僕は」
「その二人と比べると、まぁ……」
ちょっと失礼な言い方になっちゃった。
でも、野間はたしかに話しやすい。
「ですから、カナコさんが嫌だと言えば、僕くらいは尊重してあげたいなと思います。ただ──……」
途切れた言葉に、顔を上げる。
野間は考え込むように、右手を額に当てていた。
その中指に彫られた“目玉”のタトゥが、じっとこちらを睨みつけているようで不気味だった。
「本当に、嫌ですか?」
……どういう、意味だろう。


