余所者-よそもの-【 2 】


「私をここで待ってたの?」

「はい」

「話をするために?」

首を傾げると、野間は「んーっと」と言葉を選びながら、帽子を被り直した。


「いえ、それだけじゃないっていうか」

「リビドーってところに連れて行くのは、なんで?」

「紫藤さんが待ってます」

「………」


足を止めたまま、何も言えないでいた。

野間は多少の間、沈黙を許した上で再び口を開く。


「リビドーは、シトウの中でも限られた人間しか出入りできません」

「………」

「そんな場所に、カナコさんは足を踏み入れた」


なんとなく、察した。
リビドーは、前に私がシドに連れられた場所。

――『手っ取り早ぇ方法、教えてやろうか』


きっと、シドと一夜を過ごしたあの部屋のことだ。


「自分が今、どんなお立場か。自覚あります?」

「……立場?」


私の立場なんて。
そんな大層なものがシドや、シトウの中にあるとは思えない。

前のことは前のこと。……きっとちょっとした事故。

いろんなタイミングが重なって、間違っただけ。
シドにとっても私にとっても。

そうじゃないの?