余所者-よそもの-【 2 】



どうしようかな。

話が進んでいるようで、進んでない。

難しい顔をしてしまっていたのか。
刺青男が、機嫌をうかがうように「カナコさん?」と呼んだ。


「聞いていい?」

「どぞ。なんでも」

「あなた、誰?」

男は眉を上げて「たしかに」と相槌を打った。


「そうっすね、そうっすよね。そうだ、僕が一方的に知ってるだけだった」


男は浅く被ったキャップを脱いで、龍の刺青の目立つ右手で前髪を後ろに掻き上げる。

軽く身なりを整えてから、ピシッと綺麗な90度でお辞儀をした。


「僕、野間 健太郎(ノマ ケンタロウ)っていいます」


「のま、けんたろうくん……」

「紫藤さんからは『野間』って呼ばれてます。まぁ、好きに呼んでください」

「野間くんね。私は──」

「カナコさんっすよね!」

「あ、うん」


そうだった。
この人は私のことを知ってる。

シド関係の、人。