私はもう、理解した。
この人達はシドの仲間じゃない。
シドにとって、シトウにとって明らかに”敵”だ。
逃げ出さなきゃ、そう思った。
けれど、出口は男たちに塞がれてしまっている。
ベッドのある奥の部屋に戻ったところで、窓のないあの部屋に逃げ場なんてどこにもない。
できることはもう、一つしかなかった。
「誰かぁぁぁぁぁああああ……!!」
喉が千切れるくらい、ありったけの大声で助けを呼ぶこと。
「……黙れッ!!」
だけどすぐに男の拳が鳩尾へと深く突き刺さって、声は殺された。
ドサリ、と床に倒れ込んだ背中に、男のどっしりとした重い体重が乗っかる。
お腹の中のものが飛び出すかと思うほどの衝撃に、カハッ、と短い息だけが漏れた。
「口になんか詰めとけ!」
誰かがそう指示を出すと、床に転がっていた雑巾のような汚い布切れを、口に無理やり押し込まれた。
「お前はそのまま女を抑えとけ」
「さっさと荒らしてズラかるぞ!」
号令がかかると同時に、バットや鉄パイプを持った男たちが一斉にリビドーを破壊し始めた。
チェアを叩き壊し、カウンターを殴りつけ、窓ガラスを割り、背面棚の酒瓶を割り、グラスを粉々に砕いていく。
ガシャン、ガシャン、と、耳をつんざく破壊音が響き渡る。
狭い空間。
ひとしきり荒らし終えるまで、そう時間はかからなかった。
すっかり見る影もなく荒れ果てた中で、慌ただしくあちこちを物色すると「ここには何もねぇ!いくぞ!」と再び号令がかかる。

