余所者-よそもの-【 2 】



私はもう、理解した。

この人達はシドの仲間じゃない。
シドにとって、シトウにとって明らかに”敵”だ。

逃げ出さなきゃ、そう思った。

けれど、出口は男たちに塞がれてしまっている。
ベッドのある奥の部屋に戻ったところで、窓のないあの部屋に逃げ場なんてどこにもない。


できることはもう、一つしかなかった。


「誰かぁぁぁぁぁああああ……!!」

喉が千切れるくらい、ありったけの大声で助けを呼ぶこと。


「……黙れッ!!」

だけどすぐに男の拳が鳩尾へと深く突き刺さって、声は殺された。
ドサリ、と床に倒れ込んだ背中に、男のどっしりとした重い体重が乗っかる。
お腹の中のものが飛び出すかと思うほどの衝撃に、カハッ、と短い息だけが漏れた。


「口になんか詰めとけ!」

誰かがそう指示を出すと、床に転がっていた雑巾のような汚い布切れを、口に無理やり押し込まれた。


「お前はそのまま女を抑えとけ」
「さっさと荒らしてズラかるぞ!」

号令がかかると同時に、バットや鉄パイプを持った男たちが一斉にリビドーを破壊し始めた。
チェアを叩き壊し、カウンターを殴りつけ、窓ガラスを割り、背面棚の酒瓶を割り、グラスを粉々に砕いていく。


ガシャン、ガシャン、と、耳をつんざく破壊音が響き渡る。

狭い空間。
ひとしきり荒らし終えるまで、そう時間はかからなかった。

すっかり見る影もなく荒れ果てた中で、慌ただしくあちこちを物色すると「ここには何もねぇ!いくぞ!」と再び号令がかかる。