――パチ、パチ。
爪を切りながら、深夜のバラエティー番組を見ていた。
24インチの小さなテレビが映し出すそれは、大して頭に入ってこないけれど、中にいる人たちが楽しそうだからそれでいい。
誰かの笑い声を聞いていれば、少しだけ寂しさが紛れるから。
やがて、玄関先から音がした。
「シド。おかえり」
「ああ」
「怪我……してるの?」
「俺んじゃねぇよ」
「そっか。またシトウ?」
跳ねた血で汚れたシャツ。
シドはそれを脱ぎ捨て、ゴミ箱に放った。
「もう寝る?疲れたよね」
「いいや」
「じゃあ、」
「カエデ」
彼の大きな手が、私の髪を優しく撫でる。
「今日、誕生日だろ」
「覚えてたの?」
「いや、さっき思い出した」
「正直ね」
「どこも店なんかやってなくて、用意は何もねぇ」
そう言って、私をベッドに押し倒す。
私はふふっと笑って、彼にキスをした。
「いいよ」
シドは「可哀そうな女だな」と、いたずらな笑みを返した。


