シドが帰ってきたんだ。
そう思って顔を上げた私の目に飛び込んできたのは、全く見知らぬ男の顔だった。
「あ?」
「………」
誰、だろう。
野間はシトウの限られた人間しかここを知らないって言っていた。
ということは、シドの仲間?
どうしよう。
声をかけるべきか迷っていると、その男は背後の路地に向かって怒鳴り声を上げた。
「おい!誰だよ、今なら誰もいないって言ったヤツ!」
男は無遠慮にドカドカと侵入してくると、その後ろから更に声が続く。
「いないはずだぞ」
「誰がいるんだよ」
「知るかよ」
ぞろぞろ、と狭い空間に列を作って入ってくる男たち。
その男たちはこちらを一瞥し、ここに居るのが私一人だとわかった瞬間、一気に血相を変えた。
「女?」
「誰の女だ」
「知るかよ」
「でもとりあえず」
「ああ」
「面倒になる前に捕まえろ」
ガシャン!!と、カウンターに並んでいた酒瓶をなぎ倒しながら、一人の男がカウンターの中に飛び込んできた。

