「あ」
「なんですか?」
「飯、作って」
頬杖をつきながら、こちらを見るユキ。
──『今度、なにか作ってみて』
前に、こんなことを言っていたことを思い出す。
料理器具は揃えてある。
でも、ユキが家で食事を取るタイミングがわからなかったから、これまで機会がなかった。
「買い出しからで良ければ」
「うん」
「何が食べたいですか?」
「得意な料理は?」
「オムライスです」
間髪入れずに答えた。
だけどすぐにハッとした。
「あ、いやっ別に。レシピを見ればなんでも」
「じゃあ、オムライス」
「他のものでも……」
「もうオムライスの口になってる」
「そう、ですか……」
私は近くのスーパーに買い出しに出かけた。
……どうして『オムライス』なんて答えちゃったんだろう。
何度も何度も繰り返し作った、オムライス。
レシピなんて見なくたって、必要な食材も、分量も、全部覚えてる。
どうしたって彼の顔が浮かぶ。
タカが好きだと言ってくれた料理を、別の誰かに作る。
それがなぜか、後ろめたかった。
「………」
馬鹿だな、私。
どうして自分で自分の首を絞めるようなことを。


