「とりあえず歩きましょう。あ、荷物持つっすよ」
「いや、いい……」
「どこか行く気でした?」
「銭湯に」
すると男は「なんだ」とバッグを奪い、ずんずんと歩き出した。
「ちょうどいいっすね!ウチ風呂あるんで。行きましょ」
「え、待って」
「歩きなんですけど、いいですよね?」
「あの」
「僕、今日お話したくてバイク置いてきちゃって。辛いならタクりますけど」
「……ストップ!」
「はい?」
突然声を上げた私に、男はきょとんと目を丸め、ついでに足を止めた。
そうそう。
ちょっと待ってほしい。
「あのね、まずどこに向かうか教えてくれる?」
「Re:bido(リビドー)へ」
「……どこそれ」
「あれ?聞いてません?」
「知らないけど」
すると男は「あー」と頭を片手で抱えた。
「そっか、あの人めっちゃ言葉足らずですもんね」
「あの人?」
「やっぱ来てよかった。僕が全力でサポートしますんで、安心してください」
「………」


