余所者-よそもの-【 2 】



「あのね、まずどこに向かうか教えてくれる?」

「Re:bido(リビドー)へ」

「……どこそれ」

「あれ?聞いてません?」

「知らないけど」

そう答えれば、男は「あー」と頭を片手で抱えた。


「そっか、あの人めっちゃ言葉足らずですもんね」

「あの人?」

「やっぱ来てよかった。僕が全力でお二人をサポートしますんで、安心してください」

「………」


話が一向に進まない。
さっきからこの人は何を言ってるんだろう。

きっと私は相当不満げな顔をしていたんだと思う。

男は「カナコさん?」と機嫌を窺ってきた。


「聞いていい?」

「どぞ。なんでも」

「あなた、誰?」

そもそもの話から尋ねてみれば、男は目を丸くして「たしかに」と相槌を打った。


「そうっすね、そうっすよね。そうだ、僕が一方的に知ってるだけだった」

男は浅く被ったキャップを脱いで、龍の刺青の目立つ右手で前髪を後ろに掻き上げる。
軽く身なりを整えてから、ピシッと綺麗な90度でお辞儀をした。


「僕、野間 健太郎(ノマ ケンタロウ)っていいます」

「のま、けんたろうくん……」

「紫藤さんからは『野間』って呼ばれてます。まぁ、好きに呼んでください」

「野間くんね。私は――」

「カナコさんっすよね!」

「あ、うん」

この人は私のどこまでを知っているんだろう。