余所者-よそもの-【 2 】



ユキは、ソファの前のローテーブルにノートパソコンを置いて、カタカタとなにやら作業をしている様子。

パソコンの隣には、コーヒーショップのテイクアウトカップ。

足元には、脱ぎ捨てたジャケットやカバン、紙袋が無造作に転がっていた。


家政婦として通いだしてから、ユキがこの時間に居るのは初めてだった。

自宅でパソコンを開いているところだって、見たことがなかったのに。

……部屋が片付いたからかな。


「今日はここで仕事ですか?」

「仕事っていうか、ちょっと金を転がしてるだけ」


金を転がす?

後ろからちらっと見えたパソコンの画面。
緑と赤のグラフが忙しなく動いていて、見ているだけで目が回りそう。


「ユキさんの仕事って……AnBarとか、お店の経営だけじゃないんですか?」

「まぁ。あとは投資とか、いろいろ」


ずっと不思議だった。
どうしてこの人は湯水のごとくお金を使えるのか。

尽きることのない資金源が、他にあるに違いない、そう思ってはいたけれど。


「………」

ユキはパソコン画面から目を離さず、とても集中しているようだった。

邪魔しちゃ悪いかな。