一向にユキが戻って来ないので、シャワーを止めて浴室を出た。
足だって冷たさに限界だった。
すると、玄関のロックが外れる音と共に、ユキが外から帰ってきた。
その手には小さなビニール袋が下げられている。
どこに行ってたんだろう?と、首を傾げると、ユキはこちらを目がけてズンズンと歩いてきた。
「……え、え、」
ユキはタックルしてくるみたいに私の身体を抱え上げると、そのままリビングのソファまで私を運び、座らせた。
ビニール袋から取り出されたのは、ヤケド用の白い軟膏チューブ。
ユキは黙ったまま、長い指先に軟膏を出すと、私の足首のヤケドに優しく塗りこんでいく。
「……っ、」
冷えた肌に薬が触れるとヒリッと痛くて、思わず小さな声を漏らすと、そこでやっとユキと真っ直ぐ目が合った。
「……軟膏、買ってきてくれたんですね。ありがとうございます」
「うん」
「あの、お腹空きましたよね」
「空いたけど……」
「すぐに作ります」
「足は?」
「立つとか歩くのは全然平気です!ほら!」
大丈夫!とアピールをすると、ユキは小さくため息を吐いて、やっといつも通りの気だるげな表情に戻った気がした。
よかった、もう怒ってなさそう。

