余所者-よそもの-【 2 】


何がそんなにユキを怒らせてしまってるんだろう。
怒らせてやろうなんて一ミリも思ってないのに。

思ってないから、何をどう謝ればいいのかわからなくて、困る。


ふと、シャワーの水圧を遮ってくれているユキの手元を見れば、冷水に晒され続けて真っ赤になっていることに気が付いた。


私はジーンズの裾を太ももまでたくし上げると、ユキが持つシャワーヘッドを膝の方に持ってきた。

膝に水圧を受け止めれば、ユキが手で抑える必要がなくなる。


空いた、ユキの左手。
赤くなり、氷みたいに冷たくなった手を、両手でそっと包み込むように覆った。

温めてあげようと思った。


するとピク、とユキの手が跳ねたかと思えば、シャワーヘッドがころん、と床に転がった。

噴水のように水が四方八方へと激しく散る。


顔に跳ねてくる水を避けながら、ユキを見れば。


――え?

呆気に取られたような、見たことのないユキの表情。
色白のユキの頬がほんとりと赤い。

一瞬、そんな……気がした。


「………」
「………」

ユキはすぐにシャワーを手に取り直して私に預けると、何も言わず浴室を出て行ってしまった。


見間違い?
うん、きっと見間違いかな。

いつものクールで余裕のあるユキらしくない顔だった。

っていうか、なんでだろう。
私だって顔が熱くなってきた。