細い裏路地にいた人影が、一人、また一人と、夜の闇に消えていく。 狭く、暗く、静かなその場所に、やがて私だけが取り残された。 そうだ、帰らなきゃ。 まだ、営業時間中だ。 私はAnBarに向かって、ゆっくりと足を動かす。 カエデと交換したブカブカのスリッパが、地面を這いずった。 ――ずり。 ――ずり。 まるで、重たい鉄の鎖が。 私の足首に巻きついたような感覚がした。