余所者-よそもの-【 2 】



「今日はここで仕事ですか?」

「仕事っていうか、ちょっと金を転がしてるだけ」


よくわかんない、と思って、後ろからちらっとパソコン画面を覗いてみた。
緑と赤のグラフが忙しなく点滅していて、見ているだけで目が回りそう。


「ユキさんの仕事って、AnBarとかのお店経営だけじゃないんですか?」

「まぁ。あとは投資とかいろいろ」

ずっと不思議だった。
なんでこの人は湯水のごとくお金を使えるのか。

尽きることのない資金源が、きっと他にあるに違いないと思っていた。

投資かぁ。
私にはきっと一生、無縁な世界だ。


ユキはパソコン画面から目を離さず、とても集中しているようだった。
邪魔しちゃ悪いかな。


そう思った私は、そっとキッチンへ行き、小さなお皿にチョコを盛り付けて戻った。

ローテーブルにチョコを置くと、パソコンを操作していたユキの手はピタリと止まる。


「何コレ」

「なんとなく、チョコはユキさんの集中アイテムなのかなと思って」


ユキが開店前のAnBarで仕事をしているとき。
何も話さず集中している日は、サンコンにチョコを頼んでいた。

まさかここで仕事をすることがあるとは思っていなかったけれど、あれば食べることもあるかも、と思って買っておいた。

ユキは「お前って気が利くよね」と少し呆れたように、けれど嬉しそうに言いながらチョコを一つ口に放り込んだ。


「今日はずっとここで仕事ですか?」

「その予定」

「私って、今日ここに居てもいいんですか?」

「なんで?」

「邪魔にならないかなって」

「邪魔にならないように居たらいいんじゃない?」

「………」

まぁ、そうなんですけど。
掃除するから、どうしても物音は立ててしまうし。