「……なんで、連絡して来ねぇ」
シドの親指が、私の唇をなぞる。
「知ってんだろうが、俺の番号」
私の唇へと視線を落とすシドに、胸が苦しくなって目を逸らした。
けれど、大きな手に顎先を捉えられ、視線は絡み取られる。
「俺を見ろ」
もう、見てるよ……。
私は、シドの深い瞳に飲み込まれた。
ゆっくりとした口づけを交わす。
一度、二度、三度。
微かな音を鳴らすだけの、焦らすような軽いキス。
唇が離れると、シドは私を見つめたまま、ベッドの上へゆっくりと転がした。
「待って……シド」
目の前のシドの分厚い胸を押せば、両手首はあっけなくシーツに押し付けられた。
「俺を拒むな」
「そうじゃ……なくて」
じゃあ、なに?
私は、どうしたいの?
いやなの?
いやじゃないの?
「なんだ」
なんだろう。
少なくとも。
「嫌なの。自分のことが」
掠れた声を零すと、シドは今にも唇が触れそうな距離で「なにがだよ……」と囁き、私の髪をそっと撫でた。


