「………」
「………」
どうしよう。
何を話そう。
シドはベッドの端に腰かけて煙草を吸い始めた。
私は扉の前に立ち尽くしたまま、動けない。
どうしても、この間の生々しい記憶が頭を過って仕方がない。
ここに入ったということは、また、そういうことをするってことかもしれないから。
「来いよ」
結局、シドが煙草一本を吸い終わるまで、微動だに出来なかった。
シドに呼ばれ、時間を潰すように一歩、また一歩と、大して離れてもない距離をゆっくりと詰める。
そんな私に痺れを切らしたように、シドが手を強く引いた。
「トロくせぇ」
シドはベッドに腰かける自身の膝と膝の間に、私を真っ直ぐに立たせた。
「あれから、どうだ」
「元気だよ」
「何考えてた」
「……わからない」
ただ、目の前の仕事に集中することだけを考えていた。
仕事が終わって一人になると、余計なことをたくさん考えた気がする。
その時間が、一番長く感じた。
「飯は食ったか?」
「食べた」
「嘘つけ」
そう吐き捨てると同時に、シドは私の服の裾をめくり上げて、お腹をそっと撫でた。
「食ってねぇし、まともに寝れねぇんだろ」
お腹に口づけをしながら話すから、くすぐったくて、うまく返事ができない。
身じろぎをすると、再び強い力で手首を引かれ、私はシドの膝上に跨る恰好で座らされた。

