余所者-よそもの-【 2 】



「………」
「………」

どうしよう。
何を話そう。

シドはベッドの端に腰かけて煙草を吸い始めた。

私は扉の前に立ち尽くしたまま、動けない。

どうしても、この間の生々しい記憶が頭を過って仕方がない。
ここに入ったということは、また、そういうことをするってことかもしれないから。


「来いよ」

結局、シドが煙草一本を吸い終わるまで、微動だに出来なかった。

シドに呼ばれ、時間を潰すように一歩、また一歩と、大して離れてもない距離をゆっくりと詰める。
そんな私に痺れを切らしたように、シドが手を強く引いた。


「トロくせぇ」

シドはベッドに腰かける自身の膝と膝の間に、私を真っ直ぐに立たせた。


「あれから、どうだ」

「元気だよ」

「何考えてた」

「……わからない」


ただ、目の前の仕事に集中することだけを考えていた。

仕事が終わって一人になると、余計なことをたくさん考えた気がする。
その時間が、一番長く感じた。


「飯は食ったか?」

「食べた」

「嘘つけ」

そう吐き捨てると同時に、シドは私の服の裾をめくり上げて、お腹をそっと撫でた。


「食ってねぇし、まともに寝れねぇんだろ」

お腹に口づけをしながら話すから、くすぐったくて、うまく返事ができない。
身じろぎをすると、再び強い力で手首を引かれ、私はシドの膝上に跨る恰好で座らされた。