「カナコさん?」
私は、差し出された野間の腕をじっと見つめていた。
野間の右腕にグルグルと巻き付いた、黒い龍の刺青。
腕の内側をよく見ると、その龍は、自分の尾を咥えた蛇を飲み込もうとしている。
「これって、龍なの?蛇なの?」
「龍っすよ。ウロボロスになりたかった蛇を、喰らった龍です」
「すごい絵……」
龍の口から飛び出す蛇は、苦しそうに千切れた尾っぽを咥えていた。
それを丸ごと喰らう龍の顔つきは猛々しく、今にも動き出しそうなほど迫力がある。
「……って、あの。そろそろ手、掴んでもらっていいですか」
滑らかな肌に浮かぶ絵が不思議で、いつの間にか指先でなぞってしまっていた。
「くすぐったいですし……なんか傍から見たら誤解されそうなんで」
「ごめんっ」
結局、差し出された手は取らず、スタッと自力で立ち上がった。
野間はそんな私を見て笑った。


