余所者-よそもの-【 2 】



「野間」


地べたに伸びた男を見下ろしながら、多夜が呟いた。

呼ばれた野間は、すぐさま「はい」と返事をする。


「寄こせ」

「何をっすか?」

「女」


まるでボール遊びでもするように、足先で男の頭を転がす。

多夜の声には、相変わらず感情というものが感じられない。


「ええっと……構わないっすけど」


野間は私を見た。

多夜の『寄こせ』と『女』が、もし私を指しているのだとすれば。

──ムリムリムリムリ。
声には出さず、顔いっぱいで拒否した。

野間は困ったように眉を下げ、多夜へと向き直った。


「来い、女」

「………」

イヤだ……。
本当に嫌なんだけど。


顔を逸らし続けていると、突然手首を掴まれ、ぐんっと引っ張られた。

足はその場を動こうとせず、身体だけがぐらりと傾く。

不格好に、多夜の手元でぶら下がった。