じり、と。
目の前の足先が、こちらへ一歩にじり寄る。
野間も私を抱えたまま、身構えた。
そのときだった。
一番後ろにいた男の一人が、ドサリ、と突然その場に崩れ落ちた。
目をやれば、そこにはポケットに手を突っ込んだまま静かに突っ立つ、
──多夜の姿があった。
「何をしている」
こちらへ歩み寄りながら、無造作に二度、蹴りを放つ。
それだけで、三人の男が地面に転がった。
「た、多夜さぁん!すません!助太刀おねしゃす!」
強力な助っ人だ。
そう思ったのも束の間。
「………」
「乙した!」
気づけば、立っているのは私たちだけ。
多夜が加わった途端、あっけなく勝敗がついた。
私はもちろんのこと、多夜も野間も全くの無傷。
「すませんでした、カナコさん。でもほら、アレっすね」
「……なに?」
「シトウにようこそってことで」
いたずらっぽく笑った野間に、クラクラと眩暈を覚えた。


