余所者-よそもの-【 2 】




「野間」

地べたにノびている男の顔面を、靴先で転がしながら多夜が呟く。

呼ばれた野間は「はい!」とキレのいい返事をした。


「寄こせ」

「何をっすか?」

「女」


まるでボール遊びでもしているかのように足元を転がす多夜の言葉には、相変わらず感情というものが見えない。


「ええっと……構わないっすけど」

野間はちらりと私を見た。

多夜の『寄こせ』と『女』が私を指しているのだとすれば。
――ムリムリムリムリ!!

という意志を目で必死になって伝える。

野間は同情するかのような困った顔を返してから、多夜へと向き直った。


「おい。立て。女」

「………」

ヤだ。
本当に嫌なんだけど。


「んでも多夜さん。目的地は僕と同じですよね?」

「……Re:bidoに居る」

「ですよね」

「……帰る。持っていけ」

「うっす。おつかれっした」

野間の綺麗なお辞儀を背に受けながら、多夜は無言でこの場を去っていく。