キキィッ――!!!
カックン。
激しい急ブレーキの衝撃で、車が止まったみたいだった。
ガコン!!
「おい、出ろ」
トランクの蓋が開けられ、私は乱暴に外へと運び出された。
ベリベリ!!
痛い痛い痛い!!!
「ぷはぁ」
顔に貼られていた口のテープだけがバリッと剥がされた。
痛みに顔をしかめながら視線を上げると、そこには深い緑の木々と、コンクリート剥き出しの巨大建造物が見えた。
あ。
忘れるはずがなかった。
私が幼児のときに見た、あの森の中の施設だった。
ーーーーーーーーー
「あなた、本当にこれでいいのよね。
……あの子のあの耳と尻尾、やっぱりどう見ても化け物よ。
近所に見られたら、うちの世間体は完全に終わりだわ」
「ああ。だが、あの研究施設の所長という男が、かなりの額を提示してきた。
うちの汚点を合法的に処理できて、おまけに大金が手に入るんだ。
断る理由がないだろ」
「そうね……。
あの子がうちの子供だなんて、思い出すだけでゾッとするわ。
あんな気味の悪い生き物、さっさと引き取ってもらいましょ」
わけも分からず泣き叫ぶ私の小さな身体を
白い白衣を着た大人たちがモノみたいに抱え上げ
冷たい手術台の上へと放り出す。
「これが例の『銀狼』の個体か」
「まだ幼いな。手足は人間のままだが、耳と尻尾の遺伝子コードは本物だ」
視界を埋め尽くす
無機質な機械の青白い光。
太くて冷たい注射針が、まだ柔らかかった私の首筋に何度も何度も突き立てられ
体内に流れ込む薬物の激痛に
小さな私は声を枯らして泣き叫び
喉から血が出るまで母親の名前を呼び続けた
けれど、助けなんてどこからも来なかった。
だって、私をここに差し出したのは
その母親自身だったのだから。
「泣くな、実験の邪魔だ」
「もっと放射線の出力を上げろ。本能を呼び覚ますんだ」
大人たちの狂気に満ちた薄笑いと
身体を焼き尽くすようなあの放射線の熱。
あの時の恐怖
あの時の痛み
あの時の孤独
ーーーーーーーーー
「ほら、さっさと歩け、銀狼」
男に背中を強く蹴られた。
私はよろめきながらも、
トラウマを無理やり振り切るようにして、
重い自動扉の向こうへと足を踏み入れた。
カックン。
激しい急ブレーキの衝撃で、車が止まったみたいだった。
ガコン!!
「おい、出ろ」
トランクの蓋が開けられ、私は乱暴に外へと運び出された。
ベリベリ!!
痛い痛い痛い!!!
「ぷはぁ」
顔に貼られていた口のテープだけがバリッと剥がされた。
痛みに顔をしかめながら視線を上げると、そこには深い緑の木々と、コンクリート剥き出しの巨大建造物が見えた。
あ。
忘れるはずがなかった。
私が幼児のときに見た、あの森の中の施設だった。
ーーーーーーーーー
「あなた、本当にこれでいいのよね。
……あの子のあの耳と尻尾、やっぱりどう見ても化け物よ。
近所に見られたら、うちの世間体は完全に終わりだわ」
「ああ。だが、あの研究施設の所長という男が、かなりの額を提示してきた。
うちの汚点を合法的に処理できて、おまけに大金が手に入るんだ。
断る理由がないだろ」
「そうね……。
あの子がうちの子供だなんて、思い出すだけでゾッとするわ。
あんな気味の悪い生き物、さっさと引き取ってもらいましょ」
わけも分からず泣き叫ぶ私の小さな身体を
白い白衣を着た大人たちがモノみたいに抱え上げ
冷たい手術台の上へと放り出す。
「これが例の『銀狼』の個体か」
「まだ幼いな。手足は人間のままだが、耳と尻尾の遺伝子コードは本物だ」
視界を埋め尽くす
無機質な機械の青白い光。
太くて冷たい注射針が、まだ柔らかかった私の首筋に何度も何度も突き立てられ
体内に流れ込む薬物の激痛に
小さな私は声を枯らして泣き叫び
喉から血が出るまで母親の名前を呼び続けた
けれど、助けなんてどこからも来なかった。
だって、私をここに差し出したのは
その母親自身だったのだから。
「泣くな、実験の邪魔だ」
「もっと放射線の出力を上げろ。本能を呼び覚ますんだ」
大人たちの狂気に満ちた薄笑いと
身体を焼き尽くすようなあの放射線の熱。
あの時の恐怖
あの時の痛み
あの時の孤独
ーーーーーーーーー
「ほら、さっさと歩け、銀狼」
男に背中を強く蹴られた。
私はよろめきながらも、
トラウマを無理やり振り切るようにして、
重い自動扉の向こうへと足を踏み入れた。

