WANTED / Myth.

はあああぁぁぁ。



まさか能力が解放されるなんて、ね。思ってもみなかった。


全身に寒気がして、鳥肌がボコボコ立っている。


しんどいしんどい。




「失礼しまーす」



ガラーン。



あ、先生いないんだ。勝手に休ませてもらっていいのかな。









「お前、銀狼?」





え。「今なんて?」そう聞き返したいのに、言葉が出て来なかった。





え、え、え!??!?!



声がした方をゆっくりと振り返ると、一人の美少年が座っていた。



誰だっけ。誰だっけ。



てか今銀狼って言ったよね!?!?!



「い、い、いいい今あなたなんて言いました?」



「はーーーああ」


え、私ため息つかれるくらいの悪いことした?



「だーかーら、あんたは銀狼かって聞いてんだよ」



どストレート!!ちょ、まず名乗ろうかそこのイケメン。



そういえば、「ギリ校範女子」が喋ってたよーな.....橋本(はしもと).....優里(ゆうり)?だったっけ。



「あ、あのあなたは誰ですか」



「雰囲気でわかるだろ」



意味がわからん。ナルシスト?自意識過剰?



あ、でも、そういえばこのイケメンの周りに金色のオーラがある。



もしかして。



もしかして、




「天使....?」




「だいせーかい」



雑!!!


え、でも、



「同じ学校に、ミ、ミ、ミソロジアが二人も!??!?」




「なんで、」



頭がどうにかなりそう。




だって、天使の能力はその口付けによってどんな大怪我や病、呪いをも一瞬で癒す究極の回復力。




「保健室にいんの!?」



「休むために来てる」




「先生公認だからだいじょ「いやおかしいでしょ!?授業出ようか!?」



本当に、ツッコミが止まらない。




偶然にしては出来すぎている。まるで、見えざる運命の糸に手繰り寄せられたかのような邂逅。




私は橋本くんを凝視するうちに、違和感に気づいた。




「……羽は?」





本物の天使なら、背中に綺麗な羽が生えてるはず。でも、彼の制服の背中は平らで、そんな気配は微塵もない。




橋本くんは一瞬、世界を拒絶するような酷く冷たい目をしたが、すぐに面倒くさそうに視線を逸らした。



あからさまに言いたくなさそうな顔。



「……むしり取られたんだよ」



彼は吐き捨てるように、ボソリと呟いた。