「いなくならないで」

薄暗い校舎の中、私は教室の隅で蹲っている親友を見つけた。「探したよ。帰ろう」と言えば、顔を上げた女の子がすがるように私の手を掴んだ。「急にいなくなるから心配したよ」「ごめん、ごめんね」後ろで謝罪を繰り返している彼女の手を引いて昇降口に向かう。閉まっている扉を開けて彼女を外に押し出した。今も泣いている彼女が、言った。「いなくならないで」一ヶ月も校舎から出ることができなかった親友に、私は笑ってみせた。