わたしは悪役令嬢になった転生一度目、婚約破棄され、処断された。転生二度目、浮気され心も体も壊れた。相手側は自分が間違っていたと後で思う。でも間に合わない。転生三度目は、素敵な王太子殿下に溺愛されます。

 「そうよ。あなたはルシャール殿下のやさしさに対して、なぜそんな酷い返し方をするの!」

 継母がそう言えば、オディナティーヌも、

 「心やさしいルシャール殿下にこのような対応をするなんて……。なんて酷いことをするの、お姉様!」

 と言ってくる。

 しかし、内心は三人とも喜んでいるのだろう。

 自分自ら「処断」への道を進んでくれていると。

 それは理解をしている。

 それにしても情けないのは、ここに来るまで、三人がわたしの婚約破棄、そして「処断」に動いていることを全く知らなかったことだ。

 継母はわたしに嫌味を言うことは多かったが、このような大胆な企てをするほどの人物だとは思わなかった。

 そして、オディナティーヌはわたしに従順で、今まで反発したことはなかった。

 それが、いきなりこういう形で反発をしてくる。

 想像もしなかったことだ。

 感情的なところはあったにしても、わたしはオディナティーヌのことを大切に思ってきた。

 それが全く通じなかったどころか、このような仕打ちをするのだから、もう何も言う気がおきない。

 ルシャール殿下についても、今までオディナティーヌを婚約者にしようとしているとは全く思っていなかった。

 最近、わたしと会う時間が減っていたとはいうものの、会っている時は、いつも微笑んで対応していて、わたしのことを嫌だと思っている様子はなかったからだ。

 とはいっても、前兆がなかったわけではない。

 今思うと、最近、ルシャール殿下がわたしと会いたがらなかったのは、オディナティーヌと会うようになっていたからだろう。

 そうして二人の仲を深めていたのだと思う。

 そして、今日の作戦を立てる為、継母も呼ぶことがあったのだろう。

 わたしは、そういう動きを全く知らないまま、ルシャール殿下との結婚生活を夢見ていたのだった。

 もはやその夢は破れた。

 婚約も破棄され、生命さえも失ってしまうところまできている。

 それでもわたしは反発したい。

 「ルシャール殿下、わたしは正しいのです。ボードリックス公爵家を追放され、『処断』されることは、絶対に認められません!」

 わたしがそう叫んだ。

 叫んだとしても、どうにもなるわけではない。

 いや、むしろルシャール殿下の怒りを買うだけだろう。

 しかし、それでも叫ばずにはいられなかった。

 ルシャール殿下は、予想通り。

 「リディテーヌが反省しない以上、『処断』をするしか方法はなくなった。このものを連れて行け! これから数日後に処断を行う!」

 と叫んだ。

 ついに、わたしの処断は決してしまった。

 ルシャール殿下が叫んだ後、わたしは護衛たちに腕をつかまれる。

 そして、この会場から追い出されてようとしていた。

 ルシャール殿下も継母もオディナティーヌも、わたしのことを嘲り笑っている。

 「わたしに歯向かうものはこういうみじめな思いをするのだ」

 「いい気味ね」

 「わたしをイジメるからこうなるのよ」

 と言う声が聞こえてくる。

 出席者たちの多くも、声には出さないものの、

 「いい気味だ」

 と思っているに違いない。

 それが悔しくてたまらない。

 「無礼もの! わたしから離れなさい!」

 わたしはそう叫ぶ。

 しかし、ルシャール殿下に命令された護衛たちが聞くわけはない。

 「わたしはなぜ処断されなければならないのでしょう? ルシャール殿下、わたしは納得することができません!」

 わたしは最後にもう一度そう叫んだ。

 しかし、その言葉は、誰の心にも届くことはなかった。

 自分がみじめでたまらなかった。

 わたしは自分が処断されることに納得がいかないまま、その数日後、処断され、その短い生涯を閉じた。