わたしは悪役令嬢になった転生一度目、婚約破棄され、処断された。転生二度目、浮気され心も体も壊れた。相手側は自分が間違っていたと後で思う。でも間に合わない。転生三度目は、素敵な王太子殿下に溺愛されます。

 こうしてわたしは、ルシャール殿下の婚約者候補をオディナティーヌに譲ることができた。

 これで、わたしは、ルシャール殿下と婚約をしないですむことになる。

 ホッとするわたし。

 これで、ルシャール殿下からの婚約破棄と処断の可能性はほとんどなくなった。

 しかし、わたしにはまだまだしなければならないことが多い。

 わたしが今背負っている「悪役令嬢」というイメージを、なんとしてでも変えていかなくてはならなかった。

 というのも、このままのイメージで進んで行くと、

 「ボードリックス公爵家からの追放」

 というところは避けられない可能性が強いからだ。

 ルシャール殿下のルートだと、この公爵家からの追放は、婚約破棄と処断の間に発生するイベントだ。

 ルシャール殿下に無礼を働いたリディテーヌに対し、ルシャール殿下は処断を命じるのだけれど、公爵家令嬢のままだと、その命令を下すことが難しい。

 そこで、公爵家から追放するという命令をはさんだ後で、処断を下したのだ。

 ルシャール殿下との婚約が成立しなくなったので、ルシャール殿下の命令と言う形での、公爵家追放はなくなった。

 しかし、お父様がこの世を去った後、このままの状態で進んでいった場合、オディナティーヌが公爵家当主になる。

 継母は多分、オディナティーヌがルシャール殿下の婚約者になったことで、ルシャール殿下に対して、オディナティーヌを後継者にするように働きかけるだろう。

 ルシャール殿下も、継母に頼まれれば、OKをしてしまうに違いない。

 ただでさえ、OKしやすい話だというのに、わたしの評判が良くないままであれば、なおさらOKはしやすくなるだろう。

 オディナティーヌが後継者になれば、オディナティーヌは継母のいいなりになる。

 これを好機として継母はわたしをボードリックス公爵家から追放しようとするに違いない。

 その時、今までのように人望がないままであれば、ボードリックス公爵家の人たちも全員、わたしの追放に賛成することだろう。

 わたしがボードリックス公爵家から追放された場合、お母様の実家であるギャールボルドン侯爵家に行かされることになるのだと思う。

 リディテーヌはお母様と一緒にそこを訪れたことが何度かある。

 わたしの悪い評判はともかく、お母様の子供であるので、わたしの受け入れを断ることはないと思う。

 ただ、ギャールボルドン侯爵家では、わたしを持て余すことになる。

 冷たい扱いを受ける可能性は強い。

 居心地は決して良くないに違いない。

 そして、なによりも、その時点で、わたしは大きな心の傷を負うことになってしまう。

 その傷を癒すこと自体大変なことだ。

 予想されるギャールボルドン侯爵家のわたしへの冷たい扱いと、この心の傷によって、わたしの心は壊れてしまう可能性は多いにあると思う。

 このように思ってくると、ボードリックス公爵家からの追放は、なんとしてでも避けたい。

 ルシャール殿下の婚約者になると、ボードリックス公爵家からはほぼ間違いなく追放されてしまう。

 追放されなかったとしても、追放の可能性がかなりの確率で存在してしまっている。

 リディテーヌではなくて、オディナティーヌに転生していれば、こういうことで悩むことはなかった。

 なぜリディテーヌに一度だけならまだしも、二度も転生しなければならなかったのだろうということは、どうしても思わざるをえない。

 しかし、現実的に、わたしはリディテーヌとして生まれ、生きている。

 生きている以上は、なんとしてでも活路を開いていかなければならない。

 それには、わたしの評判をこれから上げていくしかない。

 今までのような、わがままで傲慢なわたしは、もういない。

 これからは、心がやさしくて素敵な女性になる。

 そして、周囲から慕われる女性になるのだ。

 そうすれば、わたしの推しであるオクタヴィノール殿下の愛を受けられるようになり、婚約、結婚へと進んでいけるはず。

 明日は学校に行く。

 学校でも評判は決して良くないわたし。

 その評判を良いものにしていくよう、態度を変えていこう!

 わたしは強くそう思うのだった。