わたしはリディテーヌ。ボードリックス公爵家の令嬢で十七歳。
今は春三月。
いつものように目覚めたわたしだったのだけれど……。
まだ眠い目をこすりつつ、立ち上がろうとした瞬間。
わたしの心の中に、流れ込んでくるものがあった。
どうやらわたしの今までの記憶のようだ。
でもどうして今なのかしら?
わたしが驚いている間にも、それはどんどん流れ込んでくる。
しかし、驚いたのはそれだけではない。
幼い頃の記憶の流入が終わると今度はこの世界では全く違う世界の記憶が流れ込んできた。
どういうことなの? これは?
わたしの心は混乱し始めた。
たたでさえ混乱する内容なのに、あまりにも短い時間に想像を絶するほどの大量の記憶が流れ込んできたので、わたしの心は壊れそうになってしまった。
多分、この状態が続いていけば、わたしの心は本当に壊れてしまったかもしれない。
それほど苦しいことだった。
昔の記憶が流入してくる場合は、普通、もう少し時間をかけてくるものだと思う。
その為、普通はこのような苦しさを味わうことはないのだろう。
今のわたしの場合、その流入があまりにも急激すぎたので、苦しんでしまったのだと思う。
しかし、何とか心が壊れる一歩手前で記憶の流入は止まった。
わたしはホッとすると同時に、この記憶の整理をし始めた。
まだ朝食までには時間があるので、整理する時間を持つことができた。
わたしはどうやらもともとこの世界とは違う、日本というところで生きていたようだ。
それが転生をしてこの世界にいる。
いや、ただ転生をしているだけではなく、今は二度目の転生だ。
つまり、今、わたしの心の中には、過去世の記憶が流れ込んできたのだ。
これは一体どういうことなのだろう?
周囲の人々は、この世は一度きりと思っている。
この世界のほとんどの人々も、そう思っているだろう。
しかし、わたしはこうして転生を重ねている。
特に一度目の転生の時の「処断」の時の記憶は、自分自身が味わっていなければ、理解できないほど強く刻まれている。
つらすぎる記憶なので、こんな記憶はない方が良かったのだけれど……。
とにかく、わたしの記憶をさらに整理していく。わたしの過去世の記憶は、日本というところから始めている。
転生を続けているということは、それ以前にも転生を繰り返している可能性は強いと思う、
それを思い出せればもっと良かったのだけれど、今までの記憶が流れ込んできただけでもつらかったので、もしかすると、これがわたしの心の限界なのかもしれない。
ここのところはわたしには良くわからない。
まずはこの日本での人生を、暫定ではあるけれど出発点にすることにしよう。
それ以前の人生については、思い出すことを期待するしかない。
この出発点での人生でのわたしは、蒼浜(あおはま)りくらという名前。
幼い頃から体が弱く、入院することが多かった。
病弱と言っていい。
それでも成長するにしたがって、入院する回数は減っていき、少しずつではあるものの、普通の子供の体の調子に近づいていった。
わたしには幼馴染がいた。
名前は、鞍町冬伸(くらまちふゆのぶ)という。
家は隣どうしというわけではなかったものの、近所。
幼稚園の頃から仲が良く、小学校、中学校、と同じところに通っていた。
クラスは違うことがあっても、疎遠になることは一度もなかった。
両親どうしも仲が良かった。
わたしの体が弱かったこともあり、年に一度にはなっていたものの、小学校高学年の頃までは、両家で一緒に旅行をしていた。
そこでわたしたちも思い出作りをしていたのだった。
幼稚園の頃、冬伸ちゃんが、
「大きくなったら結婚しようね」
と言ったのに対し、わたしの方も、
「わたしも大きくなったら結婚したい」
と言って、幼いながらも結婚の約束をしたものだった。
わたしはその約束を大切なものにして、できればその幼馴染と結婚したいと幼いながらも思っていた。
とはいうものの、こういう約束は普通であれば、大きくなるにつれて忘れられていくもの。
わたしもその幼馴染も、その約束のことは、心の奥底にしまわれていった。
今は春三月。
いつものように目覚めたわたしだったのだけれど……。
まだ眠い目をこすりつつ、立ち上がろうとした瞬間。
わたしの心の中に、流れ込んでくるものがあった。
どうやらわたしの今までの記憶のようだ。
でもどうして今なのかしら?
わたしが驚いている間にも、それはどんどん流れ込んでくる。
しかし、驚いたのはそれだけではない。
幼い頃の記憶の流入が終わると今度はこの世界では全く違う世界の記憶が流れ込んできた。
どういうことなの? これは?
わたしの心は混乱し始めた。
たたでさえ混乱する内容なのに、あまりにも短い時間に想像を絶するほどの大量の記憶が流れ込んできたので、わたしの心は壊れそうになってしまった。
多分、この状態が続いていけば、わたしの心は本当に壊れてしまったかもしれない。
それほど苦しいことだった。
昔の記憶が流入してくる場合は、普通、もう少し時間をかけてくるものだと思う。
その為、普通はこのような苦しさを味わうことはないのだろう。
今のわたしの場合、その流入があまりにも急激すぎたので、苦しんでしまったのだと思う。
しかし、何とか心が壊れる一歩手前で記憶の流入は止まった。
わたしはホッとすると同時に、この記憶の整理をし始めた。
まだ朝食までには時間があるので、整理する時間を持つことができた。
わたしはどうやらもともとこの世界とは違う、日本というところで生きていたようだ。
それが転生をしてこの世界にいる。
いや、ただ転生をしているだけではなく、今は二度目の転生だ。
つまり、今、わたしの心の中には、過去世の記憶が流れ込んできたのだ。
これは一体どういうことなのだろう?
周囲の人々は、この世は一度きりと思っている。
この世界のほとんどの人々も、そう思っているだろう。
しかし、わたしはこうして転生を重ねている。
特に一度目の転生の時の「処断」の時の記憶は、自分自身が味わっていなければ、理解できないほど強く刻まれている。
つらすぎる記憶なので、こんな記憶はない方が良かったのだけれど……。
とにかく、わたしの記憶をさらに整理していく。わたしの過去世の記憶は、日本というところから始めている。
転生を続けているということは、それ以前にも転生を繰り返している可能性は強いと思う、
それを思い出せればもっと良かったのだけれど、今までの記憶が流れ込んできただけでもつらかったので、もしかすると、これがわたしの心の限界なのかもしれない。
ここのところはわたしには良くわからない。
まずはこの日本での人生を、暫定ではあるけれど出発点にすることにしよう。
それ以前の人生については、思い出すことを期待するしかない。
この出発点での人生でのわたしは、蒼浜(あおはま)りくらという名前。
幼い頃から体が弱く、入院することが多かった。
病弱と言っていい。
それでも成長するにしたがって、入院する回数は減っていき、少しずつではあるものの、普通の子供の体の調子に近づいていった。
わたしには幼馴染がいた。
名前は、鞍町冬伸(くらまちふゆのぶ)という。
家は隣どうしというわけではなかったものの、近所。
幼稚園の頃から仲が良く、小学校、中学校、と同じところに通っていた。
クラスは違うことがあっても、疎遠になることは一度もなかった。
両親どうしも仲が良かった。
わたしの体が弱かったこともあり、年に一度にはなっていたものの、小学校高学年の頃までは、両家で一緒に旅行をしていた。
そこでわたしたちも思い出作りをしていたのだった。
幼稚園の頃、冬伸ちゃんが、
「大きくなったら結婚しようね」
と言ったのに対し、わたしの方も、
「わたしも大きくなったら結婚したい」
と言って、幼いながらも結婚の約束をしたものだった。
わたしはその約束を大切なものにして、できればその幼馴染と結婚したいと幼いながらも思っていた。
とはいうものの、こういう約束は普通であれば、大きくなるにつれて忘れられていくもの。
わたしもその幼馴染も、その約束のことは、心の奥底にしまわれていった。
