こわいはなし

美術室に飾られる龍の絵には、瞳が描かれていない。
その理由を知ったのは、忘れ物をしたある夜のこと。

管理人が懐中電灯で絵を照らすと、龍がゆっくりと目を開く。

管理人は言う。
「昼間は閉じているだけさ」
それから低い声で続ける。
「今年はお前か」

翌朝、龍の瞳の中に僕がいた。
目を凝らそうとして、ハッとする。
僕のまぶたは閉じたままだった。

『点睛(辰)』