階段を登り切る。
有泉さんに向き直ると、ペコッと頭を下げた。
「心配してくれてありがとうございます。おでこの傷もすぐに治ると思うので安心してください!」
「うん、あんまり変なことに巻き込まれないようにね」
「はい……」
少し声が小さくなった私を可笑しそうに笑って、有泉さんはもう一度頭を撫でる。
「それ、癖ですか?」
「え?」
「その、頭撫でるやつ」
そう言えば少し固まった有泉さん。だけどすぐに手を動かし、私のほっぺに人差し指を沈めた。
「下心でしょ」
「え?」
「触れたいだけ」
そう言った有泉さんはより一層指に力を入れる。少し拗ねたみたいな顔をしながら
「好きって言ったこと、忘れた?」
なんて言った。



