久遠はスタジオの灯りを落とし、モニターの光だけが暗い部屋を照らしていた。
昼間の柚歩の表情も、琉生の声も、全部が胸の奥に残っていた。
けれどそれ以上に、御影が残していった言葉が重く沈んでいた。
動き出したら知らせてください、と静かに言ったあの声の温度が、今になってじわりと広がってくる。
久遠は深く息を吐き、机に置いたスマホを見つめた。
柚歩に連絡すべきか、それとも余計な不安を与えるだけなのか、答えは出ないまま時間だけが過ぎていく。
そのとき、スタジオの扉がノックもなく開いた。
「……失礼します」
御影だった。黒いコートの裾が静かに揺れ、部屋の空気が一瞬だけ冷えたように感じられた。
久遠は椅子から半分立ち上がり、言葉を探すように口を開いた。
「……来るなら、連絡くらい……」
「必要ありませんよ。あなたは、いつもここにいる」
淡々とした声なのに、どこか底の見えない温度があった。
御影はモニターに映る波形を一瞥し、ゆっくりと久遠の方へ視線を向けた。
「……動きましたね」
久遠の胸がひやりとした。
「……何がですか?」
「あなたが隠している“あの声”です。止まっていたはずのものが……今日、揺れた」
久遠は息を呑んだ。
柚歩のペンダントが揺れた瞬間を、御影は見ていないはずだ。
それなのに、まるで見ていたかのように言う。
昼間の柚歩の表情も、琉生の声も、全部が胸の奥に残っていた。
けれどそれ以上に、御影が残していった言葉が重く沈んでいた。
動き出したら知らせてください、と静かに言ったあの声の温度が、今になってじわりと広がってくる。
久遠は深く息を吐き、机に置いたスマホを見つめた。
柚歩に連絡すべきか、それとも余計な不安を与えるだけなのか、答えは出ないまま時間だけが過ぎていく。
そのとき、スタジオの扉がノックもなく開いた。
「……失礼します」
御影だった。黒いコートの裾が静かに揺れ、部屋の空気が一瞬だけ冷えたように感じられた。
久遠は椅子から半分立ち上がり、言葉を探すように口を開いた。
「……来るなら、連絡くらい……」
「必要ありませんよ。あなたは、いつもここにいる」
淡々とした声なのに、どこか底の見えない温度があった。
御影はモニターに映る波形を一瞥し、ゆっくりと久遠の方へ視線を向けた。
「……動きましたね」
久遠の胸がひやりとした。
「……何がですか?」
「あなたが隠している“あの声”です。止まっていたはずのものが……今日、揺れた」
久遠は息を呑んだ。
柚歩のペンダントが揺れた瞬間を、御影は見ていないはずだ。
それなのに、まるで見ていたかのように言う。

