Please let me hear your voice-君の声を聴かせてー

今日のCiel Bleu × 企業アメニティコラボ企画の打ち合わせで来訪していたデザイナーで、社員ではないのにたまたまこの場に居合わせた。
琉生は、屋上の彼女が理不尽に攻められているのが納得できなかった。

「落とした場所が近かっただけで、彼女が関わってるとは限らないでしょう」

“彼女”。
名前を知らないからこその呼び方で、その言葉が柚歩の胸の奥に静かに落ちていった。

美桜は言葉に詰まり、小さく舌打ちして去っていき、ざわついていた空気が少しだけ静まった。

要が柚歩の肩に手を置き、優しい声で言った。

「気にすんな。あいつ、言い方キツいだけだから」

柚歩は小さく頷き、胸が熱くなり、涙がこぼれそうになるのを必死にこらえた。

琉生はしばらくその場に立っていたが、それ以上何も言わず、軽く会釈して会議室へ戻っていった。
その背中が静かに遠ざかっていくのを柚歩はただ見つめていた。

——あの人は、私を知らないのに
 それでも、守ってくれた。

その日の夕方、美桜のピアスはロッカールームの隅から見つかった。
ただ落としていただけなのに、美桜は何も言わず、謝りもしなかった。
けれど、柚歩を見る目がほんの少しだけ柔らかくなっていた。

柚歩は胸元のペンダントをそっと握り、
あの人の声がまだ胸に残っているのを感じていた。