胸の奥に残っていた疲れをそっと撫でるように広がっていた。
柚歩はスタジオへ向かう準備をしながら、どこか身体の奥が重いことに気づいていた。
寝不足でもない、風邪でもない、説明のつかないだるさが、昨日からずっと続いている。
優海がキッチンから顔を出す。
「柚歩、顔色……悪くない?」
「ううん、大丈夫。ちょっと疲れてるだけ」
笑ってみせたけれど、声が少し掠れていた。
優海は心配そうに眉を寄せたが、それ以上は何も言わなかった。
柚歩が“無理をしているときの顔”を知っているからこそ、そっと視線を外す。
スタジオへ向かう途中、電車の揺れがいつもより身体に響いた。
胸の奥がざわつき、息が浅くなる。
視界が少しだけ揺れた。
——あれ……?
次の瞬間、足元がふっと消えたように感じて、柚歩はそのまま意識を手放した。
気づいたとき、白い天井が見えた。
消毒液の匂い。静かな機械音。病院のベッド。
横には優海が座っていて、泣きそうな顔でこちらを見ていた。
「……柚歩……よかった……」
「ごめん……倒れちゃって……」
声を出すと、胸の奥がきゅっと痛んだ。
優海は首を振る。
「ごめんじゃないよ……心配したんだから……」
そこへ医師が入ってきた。
カルテを確認しながら、落ち着いた声で言う。
「葉山さん。大丈夫ですか?」
「……はい」
「検査の結果が出ました。貧血もありますが……それだけではありません」
柚歩は息を呑む。
優海の手がそっと柚歩の手を握る。
医師は静かに告げた。
「……妊娠しています」
時間が止まったようだった。
音が消え、呼吸の仕方が分からなくなる。
胸の奥が、痛いほど強く鳴った。
柚歩はスタジオへ向かう準備をしながら、どこか身体の奥が重いことに気づいていた。
寝不足でもない、風邪でもない、説明のつかないだるさが、昨日からずっと続いている。
優海がキッチンから顔を出す。
「柚歩、顔色……悪くない?」
「ううん、大丈夫。ちょっと疲れてるだけ」
笑ってみせたけれど、声が少し掠れていた。
優海は心配そうに眉を寄せたが、それ以上は何も言わなかった。
柚歩が“無理をしているときの顔”を知っているからこそ、そっと視線を外す。
スタジオへ向かう途中、電車の揺れがいつもより身体に響いた。
胸の奥がざわつき、息が浅くなる。
視界が少しだけ揺れた。
——あれ……?
次の瞬間、足元がふっと消えたように感じて、柚歩はそのまま意識を手放した。
気づいたとき、白い天井が見えた。
消毒液の匂い。静かな機械音。病院のベッド。
横には優海が座っていて、泣きそうな顔でこちらを見ていた。
「……柚歩……よかった……」
「ごめん……倒れちゃって……」
声を出すと、胸の奥がきゅっと痛んだ。
優海は首を振る。
「ごめんじゃないよ……心配したんだから……」
そこへ医師が入ってきた。
カルテを確認しながら、落ち着いた声で言う。
「葉山さん。大丈夫ですか?」
「……はい」
「検査の結果が出ました。貧血もありますが……それだけではありません」
柚歩は息を呑む。
優海の手がそっと柚歩の手を握る。
医師は静かに告げた。
「……妊娠しています」
時間が止まったようだった。
音が消え、呼吸の仕方が分からなくなる。
胸の奥が、痛いほど強く鳴った。

