その日の帰り道、夕方の風は少し冷たくて、柚歩はカーディガンの袖を握りしめた。
琉生との会話は昨日よりも自然だったのに、胸の奥にはまだざわつきが残っていた。
——ちゃんと向き合いたい。
——でも、怖い。
そんな思いを抱えたまま駅へ向かう交差点に差し掛かったとき。
「柚歩ちゃん?」
振り返ると、優海が立っていた。
病院帰りなのだろうか、小さな紙袋を手に持ち、少し息を弾ませながら笑った。
「よかった……会えた」
「優海ちゃん……」
優海は小さく手を振った。
「今日、経過観察に病院で診てもらってた。帰りにちょっと歩きたくて……そしたら柚歩ちゃんが見えたの」
偶然。
でも、自然な偶然だった。
柚歩は頷き、二人は交差点近くのベンチに腰を下ろした。
優海は紙袋を膝に置き、少しだけ視線を落とした。
「昨日ね……柚歩ちゃんに話したこと、あれ、誰にも言ったことなかったの」
柚歩は息を呑む。
優海は続けた。
「“平気なふり”って、癖になると抜けなくてさ。本当は弱いのに、強いふりばっかりしてきた」
その声は昨日よりもずっと静かで、ずっと本音に近かった。
柚歩はそっと優海を見つめた。
優海は微笑んだ。けれど、その笑顔はどこか寂しい。
「だから……気づいてくれたのが嬉しかったんだよ。柚歩ちゃんみたいな人に」
胸がじんわりと温かくなる。
琉生との会話は昨日よりも自然だったのに、胸の奥にはまだざわつきが残っていた。
——ちゃんと向き合いたい。
——でも、怖い。
そんな思いを抱えたまま駅へ向かう交差点に差し掛かったとき。
「柚歩ちゃん?」
振り返ると、優海が立っていた。
病院帰りなのだろうか、小さな紙袋を手に持ち、少し息を弾ませながら笑った。
「よかった……会えた」
「優海ちゃん……」
優海は小さく手を振った。
「今日、経過観察に病院で診てもらってた。帰りにちょっと歩きたくて……そしたら柚歩ちゃんが見えたの」
偶然。
でも、自然な偶然だった。
柚歩は頷き、二人は交差点近くのベンチに腰を下ろした。
優海は紙袋を膝に置き、少しだけ視線を落とした。
「昨日ね……柚歩ちゃんに話したこと、あれ、誰にも言ったことなかったの」
柚歩は息を呑む。
優海は続けた。
「“平気なふり”って、癖になると抜けなくてさ。本当は弱いのに、強いふりばっかりしてきた」
その声は昨日よりもずっと静かで、ずっと本音に近かった。
柚歩はそっと優海を見つめた。
優海は微笑んだ。けれど、その笑顔はどこか寂しい。
「だから……気づいてくれたのが嬉しかったんだよ。柚歩ちゃんみたいな人に」
胸がじんわりと温かくなる。

