Please let me hear your voice-君の声を聴かせてー

二人で並んで歩き出すと、優海がふっと笑った。

「柚歩ちゃんって……優しいね」

「え……?」

「昨日も今日も、自分のことより誰かのことを先に考えてる。そういう人、なかなかいないよ」

胸が少しだけ温かくなる。
けれど同時に昨日の痛みが胸の奥でうずき、優海は気づいたように少しだけ表情を曇らせた。

「……もしかして、琉生君のこと?ごめんね。嫌な思いさせちゃったかな?」

「いえ……そんな……」

否定しようとしたけれど声が震え、優海は立ち止まり、柚歩の横顔をそっと覗き込んだ。

「無理に言わなくていいよ。
 でも……もし、誰かに傷つけられたなら……それは柚歩ちゃんのせいじゃない」

その言葉が胸の奥に静かに触れた。

優海は続けた。

「私ね……人に助けられることって、ずっと怖かったの」

「……怖い?」

「うん。迷惑かけちゃうとか、重いって思われるとか……そういうの、考えちゃうから」

その言葉はどこか柚歩自身に重なり、優海は優しく笑った。

「でも昨日、柚歩ちゃんが迷わず助けてくれた時……
 ああ、まだ信じてもいいんだって思えたの」

胸がじんわりと熱くなる。

優海は深く息を吸い、小さく頭を下げた。

「だから……ありがとう。本当に、助けてくれて」

その言葉は昨日の痛みを少しだけ溶かしてくれて、柚歩はゆっくりと微笑んだ。

「……よかったです。ゆ、優海ちゃんが元気になって……」

優海は嬉しそうに頷いた。

「また……会ってくれる?」

押しつけでも期待でもなく、ただ“感謝の続き”のように優しくて、柚歩は小さく頷いた。

「……はい」

その瞬間、胸の奥に小さな光が灯った気がした。