気づかなかった。
気づけるはずがなかった。
必死に歌っていたから。
柚歩はただ、自分の痛みを抱きしめることで精一杯で、周りの気配に気づく余裕なんてどこにもなかった。
けれど公園の端で立ち尽くしていた少年は、その声に救われていた。
何度も、何度も。
今日もまた、いつか聞いたその声を探していて、そして泣きながら歌う少女を見つけた瞬間、胸が締めつけられ、どうして泣いているのかなんて分からないのに、その声が、その震えが、その涙が、まるごと少年の胸に刺さり、息が詰まるほどの衝撃が胸の奥に広がった。
少年——琉生はポケットの中で握りしめていた小さな箱を見つめ、渡せなかったペンダントを何度も何度も彼女に渡そうとして渡せなかった光を思い出し、でも今は違う、渡さなきゃいけない気がして、そうじゃないと後悔する気がして、胸の奥が強く揺れた。
柚歩が涙を拭った瞬間、琉生はそっと近づいた。
足音に気づいた柚歩が顔を上げると、涙で滲んだ視界の向こうに少年が立っていて、その姿が夜の光の中で静かに揺れていた。
「……綺麗な声だね」
その言葉は柚歩の胸の奥に静かに落ちていき、返事をしようとしても声が出ず、何度声を出そうとしても震えてしまい、それでもその優しい声に心が少しだけ揺れた。
琉生は小さな箱からペンダントを取り出し、柚歩の前にそっと差し出した。
「これ……君に」
柚歩は震える指で受け取った。
「えっ……」とまどいながら、そっとうけとった。
「急にごめん。ずっと、君の声に励まされて元気づけられて、夢を諦めようと思ったけど頑張ってみたいって思って。僕の夢の第一歩として初めて作ったペンダント、君に受け取ってほしくて……」
柚歩は手のひらのペンダントを見つめ、小さく「ありがとう」とつぶやいた。
その瞬間、ペンダントの光がふっと耀いた。
涙がまた溢れ、理由なんて分からないのに胸が温かくなり、名前も知らない、何も知らない、それでも確かに心が触れたと分かるほどの温度が胸の奥に広がった。
その光がかすかに揺れた。
——光の物語が、ここから始まった。
気づけるはずがなかった。
必死に歌っていたから。
柚歩はただ、自分の痛みを抱きしめることで精一杯で、周りの気配に気づく余裕なんてどこにもなかった。
けれど公園の端で立ち尽くしていた少年は、その声に救われていた。
何度も、何度も。
今日もまた、いつか聞いたその声を探していて、そして泣きながら歌う少女を見つけた瞬間、胸が締めつけられ、どうして泣いているのかなんて分からないのに、その声が、その震えが、その涙が、まるごと少年の胸に刺さり、息が詰まるほどの衝撃が胸の奥に広がった。
少年——琉生はポケットの中で握りしめていた小さな箱を見つめ、渡せなかったペンダントを何度も何度も彼女に渡そうとして渡せなかった光を思い出し、でも今は違う、渡さなきゃいけない気がして、そうじゃないと後悔する気がして、胸の奥が強く揺れた。
柚歩が涙を拭った瞬間、琉生はそっと近づいた。
足音に気づいた柚歩が顔を上げると、涙で滲んだ視界の向こうに少年が立っていて、その姿が夜の光の中で静かに揺れていた。
「……綺麗な声だね」
その言葉は柚歩の胸の奥に静かに落ちていき、返事をしようとしても声が出ず、何度声を出そうとしても震えてしまい、それでもその優しい声に心が少しだけ揺れた。
琉生は小さな箱からペンダントを取り出し、柚歩の前にそっと差し出した。
「これ……君に」
柚歩は震える指で受け取った。
「えっ……」とまどいながら、そっとうけとった。
「急にごめん。ずっと、君の声に励まされて元気づけられて、夢を諦めようと思ったけど頑張ってみたいって思って。僕の夢の第一歩として初めて作ったペンダント、君に受け取ってほしくて……」
柚歩は手のひらのペンダントを見つめ、小さく「ありがとう」とつぶやいた。
その瞬間、ペンダントの光がふっと耀いた。
涙がまた溢れ、理由なんて分からないのに胸が温かくなり、名前も知らない、何も知らない、それでも確かに心が触れたと分かるほどの温度が胸の奥に広がった。
その光がかすかに揺れた。
——光の物語が、ここから始まった。

