Please let me hear your voice-君の声を聴かせてー

「はい。もちろん」

その言い方が優しくて、温かくて、柚歩は思わず俯き、胸の奥が痛いほど揺れた。
どうして、こんなに。

打ち合わせが終わり、要が電話のために席を外した。
会議室には柚歩と琉生だけが残り、静かな空気がゆっくりと流れた。

琉生が名刺入れを開き、静かに言った。

「もしよければ……こちらに。急ぎの時は、直接でも構いません」

「あの、私は名刺持っていなくて……。葉山柚歩です。」

名刺が差し出され、柚歩は一瞬だけ迷い、スマホを取り出した。
指先が触れそうで触れない距離で交換し、画面に表示された“我妻琉生”の文字が胸の奥に深く刻まれた。

「……ありがとうございます」

「こちらこそ。また、お願いします」

その“また”の言い方が優しくて温かくて、胸が痛いほど響き、息が震えた。

エレベーター前で別れ、琉生が軽く会釈する。

「今日は、ありがとうございました」

「……こちらこそ」

扉が閉まる瞬間、琉生の視線が柚歩を捉え、その一瞬が胸の奥に深く残り、動けなくなるほどの熱が広がった。

——また、会いたい。

その気持ちを、もう否定できなかった。