夕方の光がリビングにゆっくりと差し込んでいた。
学校から帰ってきた愛生は、ランドセルを置くより先に、
柚歩の歌が流れるスピーカーの前へまっすぐ歩いていく。
「ママの声、ひかるね」
愛生はそう言って、
柚歩の胸元にあるモルガナイトのペンダントへそっと指を伸ばした。
淡い桃色の石が、夕方の光を受けてふっと揺れる。
それは奇跡ではなかった。
家族の温度が光に反射しただけの、とても自然な揺れだった。
柚歩は微笑みながら、愛生の髪を撫でた。
愛生はそのままペンダントを見つめ、
揺れる光を追いかけるように目を細める。
「ママの声、すき。
きくと、あったかくなる」
その言葉は、かつて柚歩が失いかけた“声の未来”を
静かに肯定するようだった。
琉生がアトリエから戻ってきて、
二人の姿を見てふっと息をゆるめる。
「愛生、今日も歌ってたの?」
「うん。ママみたいに、ひかる声になるかな」
愛生は胸を張って言った。
その姿は、かつての柚歩の震えとはまったく違う。
濁りのない、まっすぐな未来の光だった。
柚歩はそっと愛生の肩を抱いた。
声を失った日々も、
泣きながら愛生を抱いた夜も、
今では遠い過去の影になっている。
モルガナイトの淡い光が揺れ、愛生の瞳に映り込む。
その光は、
柚歩が歩いてきた道の続きに、
愛生がこれから歩く未来が静かに重なった瞬間だった。
「愛生なら、きっと大丈夫だよ」
柚歩の声は、
夕方の光と同じ温度で、
愛生の胸の奥にそっと落ちていった。
家族の中で受け継がれていく光は、
奇跡ではなく、
ただの“日常の温度”だった。
そしてその温度は、
未来へ向かうための静かな光として、
確かにそこに揺れていた。
学校から帰ってきた愛生は、ランドセルを置くより先に、
柚歩の歌が流れるスピーカーの前へまっすぐ歩いていく。
「ママの声、ひかるね」
愛生はそう言って、
柚歩の胸元にあるモルガナイトのペンダントへそっと指を伸ばした。
淡い桃色の石が、夕方の光を受けてふっと揺れる。
それは奇跡ではなかった。
家族の温度が光に反射しただけの、とても自然な揺れだった。
柚歩は微笑みながら、愛生の髪を撫でた。
愛生はそのままペンダントを見つめ、
揺れる光を追いかけるように目を細める。
「ママの声、すき。
きくと、あったかくなる」
その言葉は、かつて柚歩が失いかけた“声の未来”を
静かに肯定するようだった。
琉生がアトリエから戻ってきて、
二人の姿を見てふっと息をゆるめる。
「愛生、今日も歌ってたの?」
「うん。ママみたいに、ひかる声になるかな」
愛生は胸を張って言った。
その姿は、かつての柚歩の震えとはまったく違う。
濁りのない、まっすぐな未来の光だった。
柚歩はそっと愛生の肩を抱いた。
声を失った日々も、
泣きながら愛生を抱いた夜も、
今では遠い過去の影になっている。
モルガナイトの淡い光が揺れ、愛生の瞳に映り込む。
その光は、
柚歩が歩いてきた道の続きに、
愛生がこれから歩く未来が静かに重なった瞬間だった。
「愛生なら、きっと大丈夫だよ」
柚歩の声は、
夕方の光と同じ温度で、
愛生の胸の奥にそっと落ちていった。
家族の中で受け継がれていく光は、
奇跡ではなく、
ただの“日常の温度”だった。
そしてその温度は、
未来へ向かうための静かな光として、
確かにそこに揺れていた。

