Please let me hear your voice-君の声を聴かせてー

式場の扉を出た瞬間、夕方の光がふっと揺れた。

青みを帯びた夕陽が、式場の外壁に反射して、
まるで式場そのものがラピスラズリのように淡く光っているようだった。

さっきまでの拍手や祝福の声はもう聞こえない。
外の空気は静かで、式の熱がゆっくりと落ち着いていく。

柚歩はふと立ち止まり、空を見上げた。

夕方の光が青く反射して、
どこか懐かしい色をしていた。

——あの日の夜の、公園の光。

声が出なくて、
未来が見えなくて、ただひとりで震えていたあの夜。

街灯の光が滲んで見えたあの瞬間。
あの青は、孤独の青だった。

でも今は違う。

胸の奥にある青は、もう孤独の光ではなく、
“未来へ進む光”として静かに息づいていた。

柚歩は胸元のペンダントにそっと触れた。
ラピスラズリの深い青が、夕方の光を受けてふっと揺れる。

その揺れは、
過去と未来をつなぐ橋のようだった。

琉生が横に立ち、そっと手を握った。

強くない。
ただ、未来へ進むための温度だけを静かに乗せる。

「前を向いて、歩いていこう」

その声は、式場で誓った言葉と同じ温度だった。
揺れなくて、迷いがなくて、
未来を選ぶための静かな強さを宿していた。

柚歩は静かに頷いた。

その頷きは、声よりも強く、
未来へ向かうための確かな一歩だった。

愛生が二人の手を見て、
ふわっと笑った。

「ママとパパ、青い光みたいだね」

その言葉は、
夕方の光とラピスラズリの青が重なるように響いた。

柚歩は愛生の頭をそっと撫でた。
琉生も愛生の手を握り、
三人の影が夕方の光の中でひとつに重なる。

風がふっと吹き、
胸元のラピスラズリが最後に揺れた。

三人はゆっくりと歩き出す。
夕方の光の中を、
未来へ向かうための静かな一歩を踏みしめながら。