Please let me hear your voice-君の声を聴かせてー

式が終わり、拍手と祝福の声がゆっくりと遠ざかっていく。
扉が閉まり、控室に戻った瞬間、空気がふっと静かになった。

さっきまでの光と青の世界が嘘みたいに、静かに広がった三人だけの温度があった。

柚歩は深く息を吸い、胸元のペンダントにそっと触れた。
ラピスラズリの深い青が、式場の光を思い出すように静かに揺れる。

「……ここまで来れたんだね」

その言葉は誰に向けたものでもなく、
自分自身の心の奥にそっと落とすような、小さな呟きだった。

過去の影に怯えていた日々。
声が出なくなる痛みに震えていた時間。
未来なんて見えないと思っていた夜。

その全部を越えて、
今日、ここに立てた。

琉生は柚歩の肩にそっと手を置いた。
強くない。
ただ、支えるための温度だけを静かに乗せる。

「これからも一緒に歩こう」

その声は、式場で誓った言葉と同じ温度だった。
揺れなくて、迷いがなくて、未来を選ぶための静かな強さを宿していた。

柚歩はその言葉を胸の奥で受け止めた。
涙は出なかった。
ただ、胸の奥がふっと温かくなる。

その時——
愛生が二人の手をそっとつないだ。

小さな手が、二人の手をぎゅっと結ぶ。
その仕草は、誰よりもまっすぐで、誰よりも未来を信じている子どもの光だった。

「みんなで歩くんだよ」

愛生は笑った。
その笑顔は式場の青よりもずっと明るくて、
三人の未来をそっと照らしていた。

柚歩は愛生の手を握り返し、
琉生もその手を包むように握った。

三人の手がひとつになる。
その温度は、家族として歩き出すための最初の一歩だった。

胸元のラピスラズリが静かに光る。
深い青がふっと揺れ、
式場で見た“未来へ進む青”が、
控室の静けさの中でも確かに息づいていた。

柚歩は胸の奥でそっと思った。
——もう、ひとりじゃない。

琉生は柚歩の肩に手を置いたまま、
愛生の笑顔を見て静かに息を整えた。

「これから、三人で歩こう」

その言葉は、誓いの続きのようで、
未来の始まりのようだった。

控室の静かな空気の中で、
ラピスラズリの青がふっと揺れた。

それは、三人が未来へ進むための光だった。